社内FAQはエクセルで十分?FAQシステムやチャットボット導入時と比較

活用ヒント

AIシステム開発会社のアノテテです。
サービスのひとつとして、AIチャットボット「Tebot」を提供しています。

「従業員からいつも同じような問い合わせが届く」
「担当者以外は従業員からの質問に回答できない」
「スタッフによって顧客対応の質にばらつきがある」

といった課題を持つ部署はたくさんあります。
社内問い合わせに対し、属人化せず効率的に回答できる仕組みを作ることができたら便利ですよね。

このような仕組み作りには、エクセル・FAQシステム・チャットボットなど複数の方法があります。本記事では、エクセルでFAQを作る場合の基本構成やテンプレートのご紹介と、FAQシステムやチャットボットとの違いを比較し、自社に合ったFAQの作成方法を判断できるように解説します。

▼この記事で分かること
・社内FAQをエクセルで作る場合のメリット・デメリット
・FAQシステム(無料プラン含む)の特徴と向いているケース
・チャットボットの特徴とFAQシステムとの違い
・自社に合ったFAQの作り方と選び方

社内FAQとは

社内FAQとは?

まずFAQは「よくある質問とその回答」をまとめたもので、企業内の問い合わせに特化したものを社内FAQと呼びます。
社内FAQには、主に次の2つの利用目的があります。

従業員からの問い合わせ向け

従業員からの問い合わせが多い管理部門には、日々同じような質問が届きます。例えば、
 「有給休暇の申請方法を知りたい」
 「出張費の精算をしたい」
 「パソコンにログインできない」 ….といった一般的な問い合わせです。

担当者からしてみれば、だれから届く質問もほぼ同じ内容なのに、1件ずつ同じ返事を返していては時間がかかって効率が悪いですね。こうした頻繁に届く問い合わせとその回答を「社内FAQ」としてまとめて、従業員も閲覧できるようにしておけば、従業員は自分で回答を得ることができます。従業員が自己解決することにより、管理部門の業務効率化にもつながります。

顧客からの対応支援向け

コールセンターのような顧客対応の部署でも、社内FAQが活用されています。
商品・サービスに関する質問や、クレーム対応など、自社サービスについての質問には決められたルールに基づいて回答を返す必要があります。オペレーターが不慣れな場合は対応に時間がかかったり、場合によっては誤った回答をしてしまう可能性もあります。

社内FAQで顧客対応に必要な情報を共有しておけば、オペレーターの経験等に関係なくだれでも適切な回答ができるようになります。新しいスタッフでもすぐに回答を確認できるので、即戦力になります。

▶FAQとQ&Aとの違いは?
似たような用語でQ&A(Question and Answer)という言葉があります。Q&Aは「質問と回答」という意味で、質問の頻度については関係なく、想定される質問と回答を網羅した一覧です。Q&Aの中でも特に頻繁に質問されるもの、問い合わせ実績をもとにしてをまとめたものがFAQです。

エクセルで社内FAQを作成するメリットとは

エクセルで社内FAQを作る場合の主なメリットは次のとおりです。

導入が手軽で、すぐにFAQを形にできる

エクセルは普段の業務で使い慣れているケースが多いため、専門的な知識を学ぶ必要がなく、操作に関する教育コストがほとんど発生しない点も大きな強みです。

問い合わせ内容を表に並べていくだけでFAQの基本構造が整うため、まず「どんな質問が多いのか」を取り急ぎ可視化したいときに最適です。また、完成したファイルを共有すれば、従業員が自分で回答を確認できるようになり、同じ質問が担当者に集中する状況を減らすことができます。

情報の追加・修正がしやすく、初期運用がスムーズ

エクセルは行や列の追加、カテゴリ分け、並び替えといった基本操作だけでFAQを更新できるため、立ち上げ初期の調整や小規模な運用に向いています
問い合わせ内容が変わった場合も、該当箇所を書き換えるだけで反映できるので、まず形を整えたい段階では扱いやすい形式です。

また、一覧で全体を見渡しやすいため、担当者同士で回答内容を共有しやすく、初期段階の「内容のすり合わせ」にも活用できます。

エクセルで使える社内FAQテンプレート

まず問い合わせ内容をざっと整理したい場合、エクセルの一覧化が一番手軽です。
弊社では人事・労務まわりの質問を例に、FAQの基本項目だけをまとめた簡単なテンプレートをご用意しています。

初期の棚卸しや構成の叩き台に使える内容なので、必要に応じてダウンロードしてご活用ください。

エクセルで社内FAQを作成するデメリットは?

エクセルは導入コストがかからず、まずFAQの形を作るには最も手軽な方法です。ただし、作成・運用を続ける段階ではいくつか注意点があります。

エクセルで社内FAQを作成した場合の管理・編集者側のデメリット

情報量が増えると重くなり、扱いづらくなる

エクセルは情報量に比例してファイル容量も肥大化します。開くのに時間がかかったり、検索やスクロールが遅くなるなど日常的な更新にストレスが溜まりやすくなります。従業員側も「開くのが遅いから使われない」状態になりがちです。

誤操作によるデータ破損リスクが常につきまとう

手動更新が基本のため、上書きミス、行削除によるデータ消失、別名保存の乱立、ファイル紛失など、よくあるトラブルが起きやすい構造です。特に全員が触るFAQファイルは、管理者が意図しない形で壊れやすいという弱点があります。

利用データが取れないため、改善につながらない

どの質問がよく読まれているのか、どんなキーワードで検索されているのかといったログ情報が取得できません。そのため、利用実態を根拠にした改善や優先順位付けができず、FAQが育ちにくい状態になります。

検索性が低く、“探す手間”が大きい

エクセルで社内FAQを作成した場合の利用者側のデメリット

ファイルの保存場所が分からない、ネットワークフォルダが深い、検索結果が多すぎて絞れないなど、利用者側の負担が大きくなり、結果、「聞いたほうが早い」となり、FAQが機能しなくなりがちです。

レイアウトの限界で、情報が読み取りにくい

表形式には強いものの、画像・図解・手順書などが混ざるFAQには不向きです。文章量が増えるほど読みづらくなり、視認性が落ちていきます。

エクセルは“最初の一歩”として非常に便利ですが、FAQが育っていくフェーズに入ると、情報量・検索性・データ管理の面で限界が見えてきます。
このあと紹介するFAQシステムやチャットボットは、こうした課題を補いながら、より使いやすく・探しやすく・改善しやすい基盤を作ることができます。

エクセル以外の方法① FAQシステム


FAQの取扱いに課題を感じ、特化したシステムを導入している企業も少なくありません。「FAQシステム」の導入はエクセルの代用ツールとして最初の候補となるでしょう。

FAQシステムとは?

FAQシステムとは、よくある質問とその回答を記事として管理し、検索しやすい形で公開できるツールのことです。質問ごとに記事化でき、カテゴリやタグで整理したり、キーワード検索や関連質問の表示ができたりと、エクセルよりも構造化された形でFAQを運用できます。

社内FAQシステムを利用したページ例
FAQシステムの活用イメージ

企業サイトの「よくある質問」ページと同じ仕組みで、社内向けにも活用可能。よく届く質問を記事としてまとめておくことで、従業員が自分で必要な情報にアクセスしやすくなり、問い合わせ対応の負担を減らせます。

FAQシステムのメリットとは

視認性が高く、必要な情報を見つけやすい

FAQシステムの最大の価値は “見やすさ”。
記事ごとにレイアウトが整い、画像・図解・動画を自然に配置できるため、画面に並んだ情報をひと目見て理解できる状態が作れます。

  • カテゴリ一覧で全体像が把握しやすい
  • 1質問=1記事で読みやすい
  • 画像や図解を入れても崩れない
  • 手順やマニュアル系のFAQでも説明しやすい

視認性だけで比較すると、エクセルより圧倒的に優秀で、情報量をまとめやすいという立ち位置になります。

検索・整理がしやすく、FAQを安定して運用しやすい

FAQシステムは、利用者が自分で必要な回答を探しやすいように作られており、エクセルより検索性が大きく向上します。具体的には次のような特徴があります。

  • カテゴリ・タグで質問を整理でき、構造が崩れにくい
  • キーワード検索に対応しており、目的の回答にすぐアクセスできる
  • 関連質問を自動でレコメンドしてくれるため、探し回る手間が減る

管理者側も質問や回答を記事単位で編集できるため、構造を保ったまま内容を追加・修正しやすく、長期的な運用にも向いています。

FAQシステムのデメリットとは

FAQシステムは便利ですが、導入前に知っておくべき注意点もあります。
特に次の3点は、エクセルから移行するときにギャップを感じやすい部分です

無料で十分に使えるサービスはほとんどない

Tayoriのような完全無料で使えるFAQシステムを探す人も多いですが、ユーザー数が1名のみ/記事数制限あり/基本機能が使えない など、制限が多いケースがほとんどです。
実運用を考えると、チームで使えるプラン=基本的に有料という前提で検討する必要があります。

初期設定と情報設計の手間がそれなりに必要

導入すれば即使えるわけではなく、カテゴリ構成、タグのルール、記事の書き方の統一、用語の表記揺れの調整…など、FAQの土台作りが必要です。
非エンジニアでも使えるツールは多いものの、ツール独自の操作にも慣れる必要はあり、エクセルと比較すると教育コストは若干高めになります。

利用者が「自分で探す」行動を取らないと活用されにくい

FAQシステムは利用者が能動的に検索・選択する前提の仕組みです。
自分で検索せず、とりあえず担当者に聞いてしまったり、マニュアルを読むのに抵抗がある層が多い環境の場合、どれだけFAQを整えても活用率が伸びません。
エクセルよりは確実に使いやすいものの、能動的に情報を探すユーザーが多い組織でないと十分に成果が出ないという側面があります。

FAQシステムが向いている企業 FAQシステムが向いていない企業
・従業員数が多く、問い合わせが分散しやすい
・複数部門で情報共有したい
・マニュアルや手順書を極力図解したい
・定期的にFAQを改善したい運用体制がある
・問い合わせ数が少ない
・ まず人に聞く文化が強い
・新しいツールの導入に抵抗がある
・完全無料で運用したい

エクセル以外の方法②チャットボット

エクセル、FAQシステム以外の選択肢としてチャットボットが挙げられます。

チャットボットとは?

ここで言うチャットボットは、ユーザーが入力した質問に対して自動で回答を返すツールのことを指します。
大きく「シナリオ型(選択式)」と「AI型(自由入力)」に分かれ、特にAI型は自然文での質問にも対応できるため、利用者が探す手間を減らせるのが特徴です。
最近では、ChatGPTやGeminiのような生成AI回答(リアルタイムに回答を生成する)を活用したAIチャットボットも増えてきており、利用者の質問意図を理解してより柔軟に対応ができる製品も多いです。

チャットボットにはシナリオ型・AI型と様々な種類があります

チャットボットを社内FAQで活用する際のメリット

FAQシステムと同様にエクセルのデメリットをカバーできる上、FAQシステムと比較するとさらに便利な点があります。

検索性と回答の柔軟性が圧倒的に高い

チャットボットの最大の強みは、利用者が「探す」負担から解放されること。
・キーワードが曖昧でも答えに誘導できる
・自由入力の質問でも理解し、最適な回答を返せる(AI型)
・質問文が長くても要点を抽出できる
・同じ内容でも異なる表現を判断できる

FAQシステムのように 「どのカテゴリにあるのか」「どれが近い質問か」を考える必要がなく、選択もしくは質問するだけで回答に早く到達することができます。
回答のバリエーションも持たせやすいため、状況に応じた案内が必要な業務でも柔軟に対応できます。

利用ハードルが低く、問い合わせが自然とチャットボットに流れる

チャット形式は、従業員にとって日頃使い慣れたUIです。
FAQシステムのように「自分で探す」前提がないため、

  • とりあえず聞く
  • 選択肢を選ぶだけで進める
  • わからなければもう一度質問できる

という流れが自然に生まれ、検索が苦手な層でも迷わず使えるのが大きな利点です。

チャットボットを使ったFAQの作り方については、別の記事でより詳しくまとめています。

チャットボットを社内FAQで活用する際のデメリット

FAQシステムと同様、無料プランは制限が多いため有料プラン推奨

チャットボットもFAQシステムと同じく完全無料の製品も存在しますが、やはり機能制限が多く、社内FAQとして安定的に運用するには実質的に有料プランが前提になります。

月数千円から利用できる製品もあり、運用コストはサービスによって幅がありますが、完全無料のまま十分に運用できるケースはほとんどありません。

一覧でまとめて見せる場面や導入初期には少し工夫が必要

チャットボットは会話形式のため、一度に表示できる情報量が多くありません。利用者はキーワードを入力するか、選択肢を選んで進む形になるため、FAQ全体のボリュームや構成を一望することはできません。
ただし、裏を返せば「必要な質問だけをその場でやり取りする」流れが作れるため、一問一答で済むケースには適しているといえます。

チャットボットが向いている企業チャットボットが向いていない企業
・問い合わせ件数が多く、業務効率化を図りたい
・検索性が高くかつ回答の柔軟性が必要
・普段の業務でチャット形式のツールを使う
・FAQシステムが定着していない
・図表など視覚情報が中心で、一覧で見せたい
・問い合わせ自体が少ない、FAQが少ない
・新しいツールの導入に抵抗がある
・完全無料で運用したい

社内FAQツール比較

エクセル、FAQシステム、チャットボットで社内FAQを作成・管理する場合のメリットとデメリットを比較してみました。

エクセルFAQシステムチャットボット
費用無料基本有料基本有料
教育コストほぼ不要やや必要やや必要
視認性✖️
検索性✖️
回答の柔軟性✖️

「共有人数が限られている」「FAQとして必要な情報がそれほど多くない」「費用は一切かけたくない」という場合は、エクセルでも充分機能します。ただし、情報量が増え始めると視認性・検索性の面で限界が来やすいため、長期的にFAQを整備するには向きません。

FAQの情報量が多い、従業員数が多い、定期的に改善していきたい、といった環境ではFAQシステムやチャットボットのほうが安定した運用ができます。視認性を重視するならFAQシステム、検索性や回答の柔軟性を求めるならチャットボットが適しています。実際には、一覧での確認はFAQシステム、検索はチャットボットと役割を分け、両方を組み合わせて導入する企業も増えています。

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