AIチャットボットへのキャラクター導入は慎重に。設定手順や事例も紹介

活用ヒント

AIシステム開発会社のアノテテです。
サービスのひとつとして、AIチャットボット「Tebot」を提供しています。

チャットボットにキャラクターを設定すると、機械的な印象がやわらぎ、利用者に親しみを持ってもらいやすくなります。最近は生成AIで手軽にキャラクター画像を作れるようになり、自社のチャットボットに独自のキャラクターを用意する企業も増えてきました。ただ、いいことばかりではなく、設定の進め方や生成AIならではの注意点もあわせて知っておきたいところです。この記事では、キャラクター活用のメリットから作り方・事例、そして生成AIで作る際の法的な注意点までを整理します。

▼この記事で分かること
・チャットボットのキャラクターを設定するメリットと注意点
・キャラクター設定が向いている企業・向いていない企業
・キャラクターの設定手順と活用事例
・生成AIで作ったキャラクターを使うときの法的な注意点

チャットボットのキャラクターとは?

チャットボットのキャラクターとは、チャット画面に表示されるアイコン・名前・口調などで持たせる「人格」のことです。

利用者が最初に目にするアイコンや、返答の言葉づかいは、チャットボットの第一印象を大きく左右します。無機質なアイコンのままだと話しかけにくく感じる利用者もいるかもしれません。が、キャラクターを設定すると、「この相手になら気軽に聞けそう」という雰囲気をつくりやすくなります。自社のチャットボットにアイコンやキャラクターを用意するかどうかは、導入目的とあわせて検討しておきたいポイントです。

約半数がチャットボットのキャラクターを採用

「チャットボットにおけるキャラクターの採用比率調査」によると、国内のカスタマーサポート用チャットボットの52%が、企業のマスコットやチャットボット用のキャラクターを活用しています。

汎用的なアイコンでは利用者の記憶に残りにくく、企業ロゴだけでは少し堅い印象になることもあります。独自性と親しみやすさを両立できる点が、キャラクターを採用する企業が多い理由と考えられます。

参考チャットボットにおけるキャラクターの採用比率調査:https://www.atpress.ne.jp/news/222906 
りらいあデジタル株式会社(現 アルティウスリンク アップス株式会社)


チャットボットにキャラクターを活用するメリット

キャラクターは、チャットボットの印象と利用率の両方に影響します。主なメリットは次の3点です。

メリット1.顧客接点の強化につながる

キャラクターの設定は顧客に親近感を与え、企業と個人の感情的な繋がりを高める効果があります。
キャラクターへの親近感が企業への愛着へとつながり、結果、チャットボットの利用率UPにもつながります。

顧客接点の強化に繋がるキャラクターの一例として、ENEOSのイメージキャラクター「エネゴリくん」が挙げられます。名前を知らなくても、ゴリラの特徴的なキャラクターを見たことがある方も多いのではないでしょうか。

エネゴリくん(ENEOS株式会社): https://www.eneos.co.jp/company/enegori/

エネゴリくんは、親しみやすく環境を感じさせる企業マスコットとして2007年に誕生し、テレビCMでもお馴染みの存在となっています。またバスケットボールチームENEOSサンフラワーズの試合の応援で登場するなど、ENEOSの顔として多方面で活躍しています。子供っぽくなく、優等生すぎないキャラクターが、あらゆる世代に受け入れられています。

石油業界に加え、金融・保険などといった少々難しい説明や重いテーマの内容でも、親しみやすいキャラクターを通すことで顧客にメッセージを伝えやすくなります。顧客も、キャラクターに親しみを感じれば一層関心を向けて、熱心にメッセージを聴いて(読んで)くれる可能性が高くなります。

このように、すでに企業のキャラクターがあれば、チャットボットにも活用できます。企業のキャラクターがない場合は、企業や商品のイメージにあわせて、チャットボット用のキャラクターを設定するとよいでしょう。

メリット2. ブランド力の強化・他社との差別化

同じ種類の製品やサービスを扱う競合が多い場合、商品の画像や説明だけでは注目してもらいにくいことがあります。

そこで、キャラクターを企業の顔としてマーケティングにも活用すると、消費者が企業や商品のイメージをつかみやすくなり、記憶にも残りやすくなります。問い合わせ窓口となるチャットボットは、企業イメージを印象づけるもののひとつです。
親しまれるキャラクターを設定できれば、自然に企業と商品をアピールしてくれる存在になります。

メリット3. 社内向けでもエンゲージメントを高められる

上記2つは消費者に向けたキャラクター採用のメリットでしたが、社内向け(自社の従業員向け)のチャットボットにも、キャラクター設定のメリットがあります。
たとえば総務部や情報システム部のような管理部門から、従業員に対する情報発信用のチャットボットです。

「従業員向けなのに、キャラクターを設定する必要ある?」と思われるかもしれませんが、社内利用でも効果的な活用が可能です。

①自社のサービス・商品への愛着
共通のキャラクターを従業員が共有することで、連帯感が生まれます。また、キャラクターに込められた企業の理念や商品のコンセプトなどを自然と意識するようになり、自社や自社商品へより一層愛着を感じるようになります。

②社内コミュニケーションの活性化
チャットボットは対話形式です。キャラクターに親しみを感じると「ちょっと会話してみよう」と思われやすく、利用率向上につながります。担当者には聞きにくいことも、親しみやすいチャットボットが相手だと質問しやすくなりますね。

利用しているうちに、チャットボット(キャラクター)が従業員同士の会話のきっかけになったり、従業員側から改善点などのアイディアを提案しやすくなったりなど、社内コミュニケーション活性化にもつながります。

キャラクター設定が向いている企業・向いていない企業

キャラクター設定はすべての企業に向くわけではありません。自社の目的や利用シーンと相性を確認しておきましょう。

向いている企業

キャラクター設定は、次のような企業と相性がよいと考えられます。

  • 企業やブランドの認知を広げたい企業
  • 一般消費者向け(BtoC)のサービスを展開する企業
  • 若い世代を主なターゲットにする企業

利用者との接点づくりやファンづくりを重視する場面では、キャラクターが効果を発揮しやすくなります。

向いていない企業

とはいえ、すべての場面でうまくいくとは限りません。次のような場合は、慎重に考えたほうがよいかもしれません。

緊急の対応が中心のチャットボットや、利用者がシリアスな気持ちで利用する領域では、親しみやすいキャラクターがかえって場にそぐわないことがあります。たとえば、トラブル対応や重いテーマの相談窓口では、楽しさよりも正確さと迅速さが求められます。キャラクターを設定する場合も、利用シーンに合うトーンかどうかを見極めることが大切です。

キャラクターを設定する前にやるべき3ステップ

チャットボットにキャラクターを設定することが決まったら、以下の3ステップから始めてみましょう。

Step1. 目的やゴールを明確にする

チャットボット運用においては、キャラクターは主役ではなく、チャットボットの利用を促進するための手段です。キャラクター設定の前に、まずはチャットボットそのものの導入目的を再確認しましょう。

▼導入目的
 なぜチャットボットを導入することにしたのか(業務効率化、CV導線確保、など)

▼ターゲット
 だれが利用するチャットボットなのか(既存顧客、一般消費者、自社従業員、など)

▼ゴール
 何をチャットボットで達成したいのか(オペレーターによる電話対応数の削減、など)

Step2. チャットボットの形態を決める

どのタイプのチャットボットを導入するか決まっていますか?シナリオ型、AI型、複合型のどのタイプでしょうか。

決まっている場合は、Step1で確認した導入目的、ゴールに最適かどうかの最終確認を。
決まっていない場合は、Step1で確認した導入目的、ゴールを達成するためにはどのタイプがよいか検討してみてください。

 ▶シナリオ型が適している場合
FAQ(よくある質問)がすでにあり、質問を選択肢で選べるようにパターン化できる

▶AI型(自由入力)が適している場合
利用者の質問は、選択肢よりも自由入力の方がよい

さらに、チャットボットには有人チャット機能が必要かどうか、自社で利用中の他サービス(LINE, LINEWORKSなど)との連携が必要かどうか、などもあわせて検討してください。

Step3. キャラクターが答える範囲を決めておく

いよいよ質問と回答を作成することになったら、キャラクター(チャットボット)が答える範囲を決めておきましょう。あらゆる質問にチャットボットで答えようとする必要はありません

そもそも、チャットボットですべての回答に完璧に答えることは難しいものです。期待した回答が表示されないことが続くと、利用者はストレスに感じてしまいます。そうなると、キャラクターやチャットボットそのものにマイナスのイメージを持たれてしまいます。円滑に運用するためには、キャラクター(チャットボット)が回答する範囲を制限することもポイントです。

最初から広範囲な質問への回答を準備するよりも、想定される質問に絞ってスタートすることをおすすめします。

チャットボットでは回答できない質問に対しては、担当部署へつなぐ導線(問い合わせフォームやE-mailアドレスなど)を設置しておけば、顧客の不満は軽減されます。

キャラクターを活用したチャットボット事例

企業や自治体の公式マスコットキャラクターで、全国的に有名なものもたくさんありますが、ここでは明確な目的のもとに活用されているキャラクターを具体的にご紹介します。

大阪府のチャットボット事例:「大ちゃん」

大阪府
https://www.pref.osaka.lg.jp/

大阪府では、主にシニア世代向けのサービスとしてLINE公式アカウント「おおさか楽なび」を運用しています。その中の機能のひとつ、コミュニケーション支援サービス「大ちゃんと話す」では、関西弁を話す犬のキャラクター「大ちゃん」と会話を楽しむことができます。

生成AIを活用したチャットボットで、キャラクターの大ちゃんは10歳の柴犬という設定です。文字や音声での問いかけに、大ちゃんがコテコテの関西弁で返事をしてくれます。

大阪府は、親しみやすい犬のキャラクター「大ちゃん」との雑談を通して、シニア世代の孤独孤立解消と健康増進につなげることを目的としています。

大ちゃんとの会話(雑談)により期待される効果
・孤独感、孤立感を緩和
・イベント案内による外出機会の創出や食事の提案
・利用者の属性に合わせたサービスや情報の提供

住友ゴムのチャットボット事例:社内D&I情報発信「チャボ」

住友ゴム:https://www.srigroup.co.jp

住友ゴム工業は、多様性の尊重・推進の取り組みのひとつとして、社内向けにAIチャットボットのキャラクター「チャボ」を活用しています。会社からの情報発信は硬い内容になりがちで、通常の連絡文には目を通さない従業員もいるかもしれません。親しみやすいキャラクターを通すことで、社内情報をより身近に受け取ってもらう工夫がなされています。

港区「みなとクマ」(生成AIで作られた公式キャラクター)

東京都港区は、2024年10月からLINE公式アカウントで生成AIチャットボットの本格運用を始めました。港区公式ホームページの情報を学習した生成AI(ChatGPT)がチャット形式で質問に回答し、「子ども・家庭・教育」のカテゴリでは、キャラクター「みなとクマ」が子育てを応援する回答に対応します。

このみなとクマ自体が、画像生成AIで作られている点も特徴です。港区は「『みなとクマ』はマイクロソフト社の画像生成AI『Designer』で生成したキャラクターです」と明記しています。生成AIで作ったキャラクターを、自治体が公式キャラクターとして実際に運用している一例です。

参考:港区 LINE公式アカウントの生成AIチャットボット https://www.city.minato.tokyo.jp/dejitarukaikakutan/line-chatbot-release.html

最近はキャラクターを生成AIで作る企業・自治体も

ここまでの事例に加えて、近年は画像生成AIで「キャラクターそのもの」を作る動きも出てきています。

たとえば和歌山市は、大阪・関西万博に合わせた広報用に、画像生成AI「Adobe Firefly」で地域や名産品を擬人化した6つのキャラクター(『和歌山市子』『和歌山城子』など)を制作し、広告やPRカード、ポスターに活用しています。和歌山市がFireflyを選んだ背景には、商用利用が可能で、学習データがAdobe Stockや著作権の切れた写真などクリーンなものに限られている安心感があったとされています。

チャットボットの分野でも、前述の港区「みなとクマ」のように、画像生成AIで作ったキャラクターを公式に採用する例が出てきました。キャラクターを一から外注しなくても用意しやすくなりました。が、生成AIならではの注意点もあります。あわせて押さえておきましょう。

生成AIで作ったキャラクターを使うときの注意点

生成AIを使えば、キャラクター画像を手軽に作れるようになりました。ただし、企業が利用する際は、知っておきたい法的な注意点があります。ここでは弁護士の解説などをもとに、実務で気をつけたい点を整理します。なお、法的な判断は個別のケースで異なるため、最終的には弁護士など専門家への確認をおすすめします。

AIが生成しただけの画像に著作権はある?

日本の著作権法では、AIが自動で生成しただけの画像には、原則として著作権が発生しないと考えられています。文化庁の整理では、著作物として認められるには、人間の「創作意図」と「創作的寄与」の両方が必要とされています。

たとえば、具体的にプロンプトを設計する、複数の生成結果から選ぶ、生成後に編集・加工する、といった工夫があると、創作的寄与が認められやすくなります。逆に「かわいいキャラクター」程度の単純な指示で生成し、そのまま使うだけでは認められにくいとされています。著作権が認められない場合、仮に他社に似たキャラクターを使われても、権利を主張して止めることが難しいことがあります。

既存の人気キャラクターに似せるのは避ける

生成AIで作った画像が、既存の人気キャラクターに酷似していると、別のリスクが生じます。

無断で使うと、著作権侵害(翻案権の侵害)や不正競争防止法違反、パブリシティ権の侵害に問われる可能性があると指摘されています。衣装・髪型・ポーズ・配色や固有のアイテムなど、ファンが識別できる程度に再現されていると、問題になりやすくなります。

作り手が元のキャラクターを知らなくても、AIの学習データにそのキャラクターが含まれていれば、間接的に「依拠した」とみなされて侵害が認定される可能性もあります。特定の作家名を挙げた「〜風」という指示は、とくにリスクが高いとされています。生成AIが学習データに含まれる他社の商標を生成物に紛れ込ませるケースもあるため、商標の観点でも注意が必要です。

社内だけの利用なら大丈夫?

社内限定の利用であっても、リスクが完全になくなるわけではありません。

そもそも業務での利用は、個人的に楽しむ「私的使用」にはあたりません。加えて、社内報がイントラネットやPDFで共有されて外部に流出する可能性や、関係者がSNSに投稿してしまうケースも考えられます。「社内だけだから」と判断せず、外部に出ても問題ない作り方をしておくと安心です。

安全に使うためのポイント

生成AIで作ったキャラクターを安全に活用するには、次のような対策が挙げられます。

  • 商用利用が許可された素材や、学習データがクリーンで権利侵害時の補償(IP補償)が用意されたツールを選ぶ
  • プロンプトに特定の作品名・作家名を入れず、要素を分解して独自の構図や配色を指示する
  • 生成物はそのまま使わず「たたき台」とし、人が確認・加工してから使う
  • 生成したものが既存の有名キャラクターに似ていないかを確認する
  • 社内ガイドラインを整え、公開前に法務部門や弁護士に相談する体制をつくる

なお、生成AIで作ったものを利用する際の法的責任は、ツールの提供企業ではなく、利用する側(自社)にあるとされています。人が最終的に手を入れて独自の工夫を加えることは、創作性を高める観点でも有効と考えられます。

手軽に導入可能なAIチャットボット「Tebot」

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今回は、チャットボットにおけるキャラクター活用について、メリットや設定手順、事例、生成AIで作る際の注意点を紹介しました。キャラクターを採用する際は、メリットと注意点を理解し、導入目的とゴールを明確にしたうえで検討してみましょう。

AIチャットボット「Tebot」は、生成AIを活用したプランも用意しており、自社に合わせた運用を始めやすいサービスです。キャラクター設定やチャットボット導入を検討中の方は、気軽にご相談ください。

AIチャットボット「Tebot(ティボット)」
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