AIシステム開発会社のアノテテです。
サービスのひとつとして、AIチャットボット「Tebot」を提供しています。
多くの企業でチャットボットの導入が進んでいますね。チャットボット導入時において、キャラクターの活用を検討される担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
キャラクターはチャットボットの第一印象を決めるものにもなりますし、デザインや言葉遣いがチャットボットのイメージに大きく左右します。
自社のチャットボットのアイコンはどうするか、キャラクターを設定した方がよいか、しっかりと検討してみてはいかがでしょうか。
▼この記事で分かること
・キャラクター採用のメリット・デメリット
・チャットボットでキャラクターを活用するための必要な手順
・キャラクターの活用事例
1. 約半数の企業がチャットボットのキャラクターを採用
チャットボットのアイコンに使われるものとして、以下のようなものがあります。
①汎用的な画像やアイコン(一般的なイメージを表すもの)
②企業ロゴ・ブランドロゴ
③企業のマスコットやチャットボット用のキャラクター
「チャットボットにおけるキャラクターの採用比率調査」によると、カスタマーサポート用に使われている国内のチャットボットの52%が、上記③にあたるキャラクターを採用しています。約半数の企業が、チャットボットにキャラクターを設定していることになります。
①ではオリジナリティに欠けますし、②ではちょっと堅苦しい印象になるので、独自性と親しみやすさからキャラクターを活用する企業が多いと考えられます。
参考:チャットボットにおけるキャラクターの採用比率調査:https://www.atpress.ne.jp/news/222906
りらいあデジタル株式会社(現 アルティウスリンク アップス株式会社)
2. キャラクターを活用するメリット
キャラクターは、チャットボットの印象を左右します。活用するメリットとして、以下のことが挙げられます。
メリット1.顧客接点の強化につながる
キャラクターの設定は顧客に親近感を与え、企業と個人の感情的な繋がりを高める効果があります。
キャラクターへの親近感が企業への愛着へとつながり、結果、チャットボットの利用率UPにもつながります。
顧客接点の強化に繋がるキャラクターの一例として、ENEOSのイメージキャラクター「エネゴリくん」が挙げられます。名前を知らなくても、ゴリラの特徴的なキャラクターを見たことがある方も多いのではないでしょうか。
エネゴリくんは、親しみやすく環境を感じさせる企業マスコットとして2007年に誕生し、テレビCMでもお馴染みの存在となっています。またバスケットボールチームENEOSサンフラワーズの試合の応援で登場するなど、ENEOSの顔として多方面で活躍しています。子供っぽくなく、優等生すぎないキャラクターが、あらゆる世代に受け入れられています。
石油業界に加え、金融・保険などといった少々難しい説明や重いテーマの内容でも、親しみやすいキャラクターを通すことで顧客にメッセージを伝えやすくなります。顧客も、キャラクターに親しみを感じれば一層関心を向けて、熱心にメッセージを聴いて(読んで)くれる可能性が高くなります。
このように、すでに企業のキャラクターがあれば、チャットボットにも活用できます。企業のキャラクターがない場合は、企業や商品のイメージにあわせて、チャットボット用のキャラクターを設定するとよいでしょう。
メリット2. ブランド力の強化・他社との差別化
同じ種類の製品やサービスを取り扱う競合他社が多くある場合、自社商品の画像や説明だけでは、一般の消費者に注目してもらうことは難しい場合があります。
そこで、キャラクターを企業の顔としてマーケティング活動にも積極的に活用しするのも一つの手といえるでしょう。
消費者は、キャラクターを通して企業や商品のイメージをつかみやすくなり、記憶にも残りやすくなります。企業のブランドイメージを強化し、他社との差別化を図ることもできるのです。
消費者からの問い合わせ窓口となるチャットボットは、企業イメージを印象づけるもののひとつです。親しまれるキャラクターを設定できれば、自然に企業と商品のアピールをしてくれる広告塔となります。
キャラクターの設定は、「ブランド力の強化」にもつながるのです。
メリット3. 社員の企業エンゲージメント強化
上記2つは消費者に向けたキャラクター採用のメリットでしたが、社内向け(自社の従業員向け)のチャットボットにも、キャラクター設定のメリットがあります。
たとえば総務部や情報システム部のような管理部門から、従業員に対する情報発信用のチャットボットです。
「従業員向けなのに、キャラクターを設定する必要ある?」と思われるかもしれませんが、社内利用でも効果的な活用が可能です。
①自社のサービス・商品への愛着
共通のキャラクターを従業員が共有することで、連帯感が生まれます。また、キャラクターに込められた企業の理念や商品のコンセプトなどを自然と意識するようになり、自社や自社商品へより一層愛着を感じるようになります。
②社内コミュニケーションの活性化
チャットボットは対話形式です。キャラクターに親しみを感じると「ちょっと会話してみよう」と思われやすく、利用率向上につながります。担当者には聞きにくいことも、親しみやすいチャットボットが相手だと質問しやすくなりますね。
利用しているうちに、チャットボット(キャラクター)が従業員同士の会話のきっかけになったり、従業員側から改善点などのアイディアを提案しやすくなったりなど、社内コミュニケーション活性化にもつながります。
3. キャラクター活用時のデメリット
うまく活用できれば、キャラクターは強力なマーケティングツールとなりますが、デメリットもあります。
ネガティブなイメージを与える場合もあり
業界やサービス内容によっては、キャラクターがネガティブなイメージを与える可能性がありますので、注意が必要です。
たとえば顧客が楽しさや相互のコミュニケーションを求めておらず、企業や商品に対してシリアスな場合は逆効果となる場合もあります。
自社サービスの対象となるユーザー像を明確に想定したうえで、キャラクターの活用が適切であるかどうか検討されることをおすすめします。
安易なキャラ設定は離脱や誤解を生む
すでに企業のマスコットキャラクターがあり、消費者に認知されている場合は、そのままチャットボットにも採用できますね。一方で、これからチャットボット用にキャラクターを設定する場合は、慎重に検討をしてください。
安易にキャラクターを設定してしまうと、マイナスになりかねないからです。
企業イメージとキャラクターがマッチしない場合、ちぐはぐな印象を与えてしまうかもしれません。
また、キャラクターのイメージが、自社製品やサービスと関連性がない場合は、企業や商品について誤解を生む可能性があります。
安易にキャラクターを設定すると、かえって失敗する可能性があります。まずは、チャットボットの導入目的を再確認して、その運用方法に適したキャラクターを考えてみてください。
4. キャラクターをチャットボットに使用する前にやるべき3ステップ
チャットボットにキャラクターを設定することが決まったら、以下の3ステップから始めてみましょう。
Step1. 目的やゴールを明確にする
チャットボット運用においては、キャラクターは主役ではなく、チャットボットの利用を促進するための手段です。キャラクター設定の前に、まずはチャットボットそのものの導入目的を再確認しましょう。
▼導入目的
なぜチャットボットを導入することにしたのか(業務効率化、CV導線確保、など)
▼ターゲット
だれが利用するチャットボットなのか(既存顧客、一般消費者、自社従業員、など)
▼ゴール
何をチャットボットで達成したいのか(オペレーターによる電話対応数の削減、など)
Step2. チャットボットの形態を決める
どのタイプのチャットボットを導入するか決まっていますか?シナリオ型、AI型、複合型のどのタイプでしょうか。
決まっている場合は、Step1で確認した導入目的、ゴールに最適かどうかの最終確認を。
決まっていない場合は、Step1で確認した導入目的、ゴールを達成するためにはどのタイプがよいか検討してみてください。
▶シナリオ型が適している場合
FAQ(よくある質問)がすでにあり、質問を選択肢で選べるようにパターン化できる
▶AI型(自由入力)が適している場合
利用者の質問は、選択肢よりも自由入力の方がよい
さらに、チャットボットには有人チャット機能が必要かどうか、自社で利用中の他サービス(LINE, LINEWORKSなど)との連携が必要かどうか、などもあわせて検討してください。
Step3. キャラクターが答える範囲を決めておく
いよいよ質問と回答を作成することになったら、キャラクター(チャットボット)が答える範囲を決めておきましょう。あらゆる質問にチャットボットで答えようとする必要はありません。
そもそも、チャットボットですべての回答に完璧に答えることは難しいものです。期待した回答が表示されないことが続くと、利用者はストレスに感じてしまいます。そうなると、キャラクターやチャットボットそのものにマイナスのイメージを持たれてしまいます。円滑に運用するためには、キャラクター(チャットボット)が回答する範囲を制限することもポイントです。
最初から広範囲な質問への回答を準備するよりも、想定される質問に絞ってスタートすることをおすすめします。
チャットボットでは回答できない質問に対しては、担当部署へつなぐ導線(問い合わせフォームやE-mailアドレスなど)を設置しておけば、顧客の不満は軽減されます。
5. キャラクターを活用したチャットボット事例
企業や自治体の公式マスコットキャラクターで、全国的に有名なものもたくさんありますが、ここでは明確な目的のもとに活用されているキャラクターを具体的にご紹介します。
ローソンクルー♪あきこちゃん
「ローソンクルー♪あきこちゃん」は、大手コンビニエンスストア「LAWSON」のソーシャルメディア上のキャラクターです。2010年にLAWSON公式Twitter(現X)に登場以来、LINEやFacebookなどのSNSにも広く登場し、キャンペーンの告知やクーポンの配布などをしています。 LAWSONの問い合わせ用チャットボットのアイコンにもなっています。
本当に近くのLAWSONにいるような親しみやすいキャラクターという綿密なペルソナ設計のもとで誕生しました。現在ではすっかりローソンを代表する顔です。
親しみやすさから、顧客接点の強化、顧客ロイヤリティの向上、他社との差別化を図ることができ、キャラクター導入成功事例のひとつです。
大阪府コミュニケーション支援サービス「大ちゃんと話す」
大阪府では、主にシニア世代向けのサービスとしてLINE公式アカウント「おおさか楽なび」を運用しています。その中の機能のひとつ、コミュニケーション支援サービス「大ちゃんと話す」では、関西弁を話す犬のキャラクター「大ちゃん」と会話を楽しむことができます。
生成AIを活用したチャットボットで、キャラクターの大ちゃんは10歳の柴犬という設定です。文字や音声での問いかけに、大ちゃんがコテコテの関西弁で返事をしてくれます。
大阪府は、親しみやすい犬のキャラクター「大ちゃん」との雑談を通して、シニア世代の孤独孤立解消と健康増進につなげることを目的としています。
▶大ちゃんとの会話(雑談)により期待される効果
・孤独感、孤立感を緩和
・イベント案内による外出機会の創出や食事の提案
・利用者の属性に合わせたサービスや情報の提供
住友ゴム工業株式会社 社内D&I情報発信キャラクター「チャボ」
社内での情報発信用にキャラクターが活用されている例もご紹介します。
住友ゴム工業株式会社は、多様性の尊重・推進を重点課題のひとつと位置付けて、さまざまな取り組みを行っています。その中のひとつに「D&I情報発信キャラクター「チャボ」による社内情報発信を強化」というものがあります。
※D&I:ダイバーシティ&インクルージョン。多様性を認識するだけではなく、一人ひとりが受け入れ、尊重することによって個人の力が発揮できる環境を整備していくという考え方
「チャボ」とは、従業員にむけて情報発信をする同社のAIチャットボットのキャラクターです。会社からの情報発信は堅苦しい内容になりがちなので、通常の連絡文にはあまり目を通さない人もいる可能性があります。
親しみやすいキャラクター「チャボ」を通して情報発信・やり取りをすることで、従業員は会社からの情報をより身近なものとして受け取るようになります。
従業員への情報の周知のために、キャラクターが効果的に活用されている例です。
手軽に導入可能なAIチャットボット「Tebot」
今回はチャットボットにおけるキャラクター活用について解説しました。
チャットボットに採用する際は、メリット・デメリットを十分理解し、ゴールや目的設定を明確にしたうえで活用してみてくださいね。
AIチャットボットTebotは、手間のかかる初期設定も初期費用も不要で、気軽に導入できます。シンプルなUIで使いやすく、チャットボットのデザイン、アイコンも簡単に変更可能です。