シナリオ型チャットボットはこう作る!設計時の注意点や作り方を紹介

チャットボット
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チャットボットの種類には、大きく分けて「シナリオ型」「AI型」の2種類があります。どちらが自社に向いているのか現在検討中の方に、今回はシナリオ型チャットボットについて解説します。シナリオの作成方法、利用率が上がるチャットボットの作り方も説明しますので、すでに導入中の方も、改善のためのご参考にしてください。

▼この記事で解決できる疑問
・シナリオ型チャットボットってAI型とどう違うの?
・自社で導入予定(導入中)のチャットボット、シナリオ型でよい?
・シナリオ型チャットボットの作り方とコツを知りたい

1.シナリオ型チャットボットとは

シナリオ型チャットボットをうまく活用するために、まずは「シナリオ型」とはどのようなものなのか、理解しましょう。

シナリオ=ユーザーを導く筋道

シナリオ型チャットボットでは、スムーズに会話が流れるようにするため、想定される質問とその選択肢をあらかじめチャットボットに登録しておきます。これを「シナリオ」と言います。

シナリオは、大きなカテゴリから段階的に小さなカテゴリへと分岐していき、最終的には利用者の質問を解決に導くように作成されます。
フローチャートをイメージすると分かりやすいですね。

シナリオ型チャットのイメージ
  • 1
    チャットボットが複数の選択肢を提示する

  • 2
    利用者が選択肢の中から知りたい内容を選ぶ
  • 3
    選ばれた選択肢に基づいて、さらにチャットボットが選択肢を提示する
  • 4
    利用者が選択肢の中から知りたい内容を選ぶ
  • 5
    ・・・ (必要に応じて繰り返す)

  • 6
    回答(利用者が求めていた情報)が表示される

AI型チャットボットとの違い

選択肢ではなく、利用者が言葉や文章を入力することで会話が流れていくのがAI型チャットボットです。選択ボタンではなく、文字による自然な会話のキャッチボールが成立します。文字で入力された質問をAIが分析して、適切だと判断した回答を表示するのです。
AIが言葉のゆらぎに対応するので、一字一句同じでなくても、同じ意味であれば、同じ質問であると判断します。

シナリオ型のチャットボットよりも、複雑で広範囲な問い合わせに対応できるのがメリットです。

2.シナリオ型のメリット・向いている企業

広範囲な問い合わせに対応できるのであれば、「AI型の方がいい!」と思うかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。導入目的、利用方法などによって、どちらのタイプが適しているのかは異なります。

シナリオ型を選ぶメリット3点と、シナリオ型が向いている企業について解説します。

メリット①低コスト運用が可能

シナリオ型チャットボットのメリットのひとつは、AI型と比べて費用が安いことです。通常、初期費用もランニングコストも、AI型より低価格です。AIを搭載していない分、機能もシンプルです。
チャットボット導入にまだ踏み切れない場合は、まずはコストのかからないシナリオ型で、試験的に運用して効果を検証してみるのもよいでしょう。

メリット②短期間で導入できる

機能がシンプルで分かりやすいため、短期間で導入が可能なこともメリットです。同じような質問が多く寄せられるサポートデスクや、企業の総務部門などで、すでにFAQ(よくある問い合わせ)が用意されている場合は、新たにシナリオ原稿を作成する必要がないので、短期間でチャットボット導入が可能です。

メリット③属人化を防ぎ確実な回答ができる

シナリオ型チャットボットは、あらかじめ登録された回答を表示します。つまり、誰が質問をしても、同じ質問であれば、同じ回答しか表示されません。

人が対応する場合は、担当者によって回答内容が異なっていたり、特定の担当者にしか答えられなかったりすることがあります。AI型チャットボットだと、意図しない回答を表示してしまう可能性もあります。
シナリオ型チャットボットでは、このような問題を解決することができます。

属人化を防ぎ、確実で正確な対応が可能なのがシナリオ型チャットボットです。

シナリオ型が向いている企業

シナリオ型チャットボットのメリットは、以下の3点でした。

・ 低コスト運用が可能
・ 短期間で導入できる
・ 属人化を防ぎ確実な回答ができる

よって以下のような企業にはシナリオ型チャットボットが向いています。

①費用をあまりかけたくない

シナリオ型は機能がシンプルな分、低コストで導入できます。導入はしたいけれど、あまり予算をかけられない場合は、シナリオ型を検討しましょう。

②チャットボットの導入効果が分からない

そもそもチャットボットがどういうものか分からない場合や、チャットボットを導入しても効果があるかどうか分からない、という場合は、低コストかつ短期間で導入できるシナリオ型チャットボットで、まずは試験的に試してみてはどうでしょう。

③FAQがすでにある(問い合わせ内容がパターン化できる)

すでにFAQがある場合は、多くの場合そのままチャットボットのシナリオに設定できます。FAQとしてまとまっていない場合でも、ふだんから決まりきった質問が多い場合は、これを機会にパターン化してシナリオ用にまとめてしまいましょう。

3.シナリオ型のデメリット・向いていない企業

シナリオ型チャットボットには、メリットもあれば、当然デメリットもあります。AI型と比較して、どちらが自社の導入目的にあっているか、自社の利用方法に適しているかを考えることが大切です。シナリオ型のデメリット、シナリオ型が向いていない企業について確認します。

デメリット①柔軟な回答ができない

シナリオ型チャットボットでは、柔軟な回答ができません。あらかじめ登録されたシナリオに沿って、フローチャートのように順に会話が進んでいきます。事前に決められた質問に、選択肢でしか回答できないのです。つまり、言葉や文章の入力による質問はできません。AI型と比べて、柔軟な回答ができないことがシナリオ型のデメリットです。

デメリット②離脱の恐れがある

シナリオ型チャットボットは、選択肢を選んでもらうだけの簡単な操作ですが、シナリオの作り方によっては、利用者が欲しい情報にたどり着くまでに時間がかかったり、途中で離脱したりするかもしれません。次のような場合です。

・選択肢が多すぎる
選択肢の数が多いと、利用者はどの選択肢を選べばよいのか迷ってしまいます。

・シナリオの階層が深すぎる
シナリオの階層が深い場合、利用者は何度も選択肢を選ぶことになるので、面倒に感じて途中でやめてしまうかもしれません。

このように、選択肢のみで誘導するシナリオ型では、シナリオの構成に注意が必要です。言葉を入力するだけですぐに回答を得られるAI型チャットボットと比べると、離脱率が高くなる恐れがあるのもシナリオ型のデメリットです。

デメリット③ニーズを収集しにくい

シナリオ型チャットボットでは、利用者は選択肢でしか質問できないので、
利用者が求めていた情報が提示された選択肢の中にあったのか、
本当に知りたかった情報が何だったのか、など正確に把握できません。

探していた情報が選択肢の中に見つからず、利用者は途中で離脱してしまった可能性もあります。

利用者が直接入力した言葉を確認できるAI型と比較すると、利用者のニーズを正確に把握できないのがシナリオ型のデメリットです。

シナリオ型が向いていない企業

シナリオ型チャットボットのデメリットは、以下の3点でした。

・柔軟な回答ができない
・シナリオの作り方によっては離脱の恐れがある
・利用者のニーズを収集しにくい

チャットボットの導入目的は、最終的に利用者自身で知りたい情報を得てもらう(あるいは利用者を自社のサービスへ誘導する)ことです。

以下のような企業は、シナリオ型ではなく、AI型の導入を検討しましょう。

①複雑な質問にも回答したい

シナリオ型チャットボットは、柔軟な対応はできません。想定される質問がパターン化できなくて、複雑な質問にチャットボットで対応したい場合は、シナリオ型よりAI型が向いています。

②質問の種類が広範囲におよぶ

質問のジャンルが多いと選択肢が多くなり、利用者には分かりにくくなります。選択肢が少ない場合でも、階層が深くなれば(選択肢を何回も選ぶことになれば)、利用者にとっては面倒です。いずれの場合も、利用者が欲しい情報にたどりつくまでに時間がかかり、途中で離れてしまうかもしれません。

質問をジャンル分けするのが難しい場合や、質問内容が広範囲に及ぶ場合は、AI型の導入を検討しましょう。

③利用者のニーズを把握したい

シナリオ型では、利用者は提示された選択肢を選んでいくだけです。利用者が本当はどんな情報を探していたのかは、正確には把握できません。チャットボットで顧客のニーズを具体的に把握したい、マーケティングに利用したい、という場合は、文字入力で質問できるAI型を導入しましょう。AI型では、利用者が入力した文字情報を直接確認できるので、利用者のニーズを把握しやすいです。

4.導入前に準備すべきこと

シナリオ型チャットボットの導入を決めたら、最大限活用できるよう、準備をしましょう。

具体的には以下の2点です。
・目的、ターゲットを明確にする
・よくある質問と回答を準備して構成を考える

目的・ターゲットを明確にする

チャットボットの構築に入る前に、チャットボットの導入目的を明確にしましょう。

チャットボットの導入目的
  • 従業員からの質問への対応を自動化したい?
  • 既存顧客からのお問い合わせに回答したい?
  • 見込み客を自社サイトに誘導したい? 

ターゲットは誰なのか、チャットボットで解決したいことはなんなのかを事前にはっきりさせておくことが大切です。                                   

よくある質問と回答から構成を検討

目的とターゲットが明確になったら、シナリオ作成の準備をします。これまでたくさん寄せられた質問と、今後問い合わせがあると想定される質問をまとめて、回答とセットで準備しましょう。

既存のFAQがあれば、多くの場合はそのまま利用できます。似たような質問で、同じ回答で対応できるものは、なるべくひとつにまとめます。

5.シナリオ文章の魅せ方・ポイント

質問と回答の準備ができたら、いよいよシナリオの設定をします。シナリオの構成と文章の作成についてポイントをまとめました。

シナリオ作成のポイント
  • シナリオの階層は3~5に留める
  • 「チャットボットの顔は導入文で決まる」と考える
  • 親しみやすく簡潔な文章を心掛ける
  • 利用者の感情を読み解く
  • 問題を先回りして解決策を掲示する

シナリオの階層は3~5に留める

まずは質問を、ざっと大・中・小のカテゴリに分けます。

①メインカテゴリ

大きな分類

②サブカテゴリ

各メインカテゴリの中でさらに分類

③小カテゴリ

各サブカテゴリの中でさらに分類

ひとつの質問が、複数のカテゴリ(選択肢)に分かれ、そこからまた複数のカテゴリ(選択肢)に分かれていき、最後は回答につながります。フローチャートを意識するとよいでしょう。

できれば階層は3~5までに留めましょう。カテゴリの階層が深くなって、何度も選択肢を選ぶことになると、時間がかかりますし、面倒に感じます。そうなれば利用者は回答にたどり着く前に、選択肢を選ぶのをやめてしまうかもしれません。

「導入文で印象が決まる」と考える

チャットボットは、自社サイトの顔にもなります。ボットとはいえ、見た目や言葉遣いでなんとなく印象が異なってきますので、デザインや導入文なども考慮しましょう。

▼デザイン(イメージ)
親しみやすいチャットボットだと、利用者も質問しやすいですね。チャットボットのアイコン(キャラクター、ロゴなど)、ネーミング、紹介文などを工夫することで、ちょっぴり人間味を感じるチャットボットにすることができます。

「チャットボットに質問してみようかな」と思われるようなデザインを考えましょう。最初に短い紹介文を入れると、より親しみがわきますね。文体を統一するために、事前にキャラクターイメージを決めておくのもよいです。(コールセンター風、ビジネスパーソン風、ゆるキャラ風、など)

▼導入文は具体的に
シナリオ型の導入文では、「どうしましたか?」のような、あいまいな質問は避けるべきです。
訪問者が「質問してみよう」と思うような導入文と、選択肢を提示しましょう。選択肢により、このチャットボットで何ができるのかを提示することにもなります。

親しみやすく簡潔な文章を心掛ける

できるだけ早く、分かりやすく、利用者が欲しい情報にたどり着くように、簡潔な文章を心掛けましょう。とはいっても、あまりに簡潔すぎるとそっけなく冷たい印象を持たれますので、自然な会話の流れになるよう心掛けてください。

相手がチャットボットだと分かっていても、会話を続けるうちに、個性のようなものが伝わってきます。文体を統一し、簡潔ながらも丁寧で、親しみやすい印象を与える表現が効果的です。

利用者の感情を読み解く

「利用者がこの選択肢を選んだときは、どんな感情だろう?」と考えてみましょう。

たとえば、商品の購入申し込みの場合は「お礼」の言葉、故障やトラブルに関する問い合わせの場合は「お詫び」の言葉など、状況に応じてコメントを加えたり、文面を変えたりすることで、顧客に寄り添った印象を与えます。

問題を先回りして解決策を掲示する

チャットボットでどのような問題を解決したいのか、利用者の立場になって考えてみましょう。質問(利用者が抱える問題)に対して、すぐに解決策が提示されたなら、満足度アップですね。クレームにつながるのを防ぐことにもなります。

また、チャットボットで回答できない場合は、「回答できません」というだけでなく、「有人チャットにつなぐ」「メールを送る」「電話する」などの選択肢を提示して、どうすれば解決できるのかを示すと、利用者は安心します。

最後まで顧客を導く工夫をする

利用者がチャットボットを利用する目的を考えて、回答(利用者が求めている情報)まで誘導できるように工夫をしましょう。会話がテンポよく自然に流れていくと、チャットボットに親しみを感じて利用率アップにもつながります。「ありがとう」「申し訳ありません」などお礼やお詫びの言葉は基本ですが、共感の言葉を添えると、気の利いたメッセージになります。

例①社内利用のチャットボットで、従業員からの問い合わせ

選択肢「結婚休暇の申請をする」
→ 回答「ご結婚おめでとうございます。結婚休暇の申請手続きは・・・」

例②顧客向けサポートサイトで、既存顧客からの問い合わせ

選択肢「商品が故障した」
→ 回答「ご迷惑をお掛けし申し訳ありません。どの商品でしょうか・・・」

また、チャットボットだけで完結しなくても、自社サービスにつなぐことで解決する導線を作っておきましょう。自社サイトへのリンクや問い合わせボタンを追加することにより、リード獲得率やサイト回遊率の改善に繋がる可能性があります。

例①詳細については資料を見てほしい場合

→ 各質問の回答後に資料請求ページへリンクを貼る

例②会員登録してほしい場合

会員登録によるメリットを一言添え、自社の会員登録サイトへリンクを貼る

例③チャットボットでは解決できない質問

回答できなかった質問に対し、有人チャットにつながるボタンを設置表示、問い合わせフォームへリンクを貼る


6.導入後は常にメンテナンスを

チャットボットの導入効果を高めるためには、定期的にメンテナンスが大切です。利用者のフィードバックをもとにシナリオを改善して、的確な情報が提供できるようにしましょう。具体的には、チャットボットサービスの分析画面より、アクセス数、チャットログなどを確認することができます。(各サービスによって分析画面は異なります。)

7.30日間の無料トライアル可能なチャットボット「Tebot」

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