AIシステム開発会社のアノテテです。
サービスのひとつとして、AIチャットボット「Tebot」を提供しています。
チャットボットの導入を検討されている企業さまより、AIチャットボットと合わせてChatGPTなどのいわゆる「生成AI」に関するご質問を頂くことがあります。
どちらも大きく分類すればチャットボットではありますが、それぞれの用途や機能は大きく異なります。
この記事では、「AIチャットボット」と「ChatGPT」等の生成AIについての基本知識に加え、これら2つに関するよくあるご質問や誤解などを中心に紹介いたします。
「そもそもAIやチャットボットのことがまだよく分からない」という方や、「ChatGPTとチャットボットがどう関わるのかいまいちイメージがついていない」といった方のご参考になると幸いです。
▼この記事で解決できる疑問
1. 従来のAIと生成系AIの違いは?
2. チャットボットとChatGPTはどう違う?
3. AIチャットボットについてどんな質問が寄せられる?
「AI」と「チャットボット」と「ChatGPT」
ときどき、「AI(人工知能)」「チャットボット」「ChatGPT」の3つを混同されている方もいらっしゃるので、最初にそれぞれについて簡単に確認しておきます。
※この違いはすでに分かっているという方は、この章はスキップして次の章からお読みください。
▼AI(人工知能)とは
AI(Artificial Intelligence)の技術は、さまざまな分野で活用されています。身近なところではお掃除ロボット、自動翻訳、バーチャルアシスタント(SiriやAlexa)など。自動車の自動運転、医療系の画像診断なども身近になりつつありますね。
最近よく話題になる「生成AI」は、AIの一部です。従来のAIは、学習済みの情報から成否の判別や適切な答えを予測する特徴を持っていました。一方で生成AIは学習済みのデータに加え、自らが学習しそこから新たな答えを創造する比較的新しいモデルのAIと言えます。
▼チャットボットとは
企業や自治体のHPを開くと、画面の右下や左下に「ご質問をどうぞ」とか「チャットボットがお答えします」などと書かれた小さな四角い画面がよく出てきますね。この、HP画面から独立した小さな画面がチャットボットです。
チャットボット上で、選択肢を選ぶか、入力欄に言葉を記入するかをして質問し、自動で会話ができるプログラムです。チャットボットには、AIが搭載されているものと、搭載されていないものがあります。
▼ChatGPTとは
ChatGPTは、生成AIの代表的なもので、2022年11月にOpenAI社(米・サンフランシスコ)がリリースしたサービスです。詳しくは2章をご参照ください。
1. AIチャットボットとは
チャットボットには大きく分けて「AI型」と「シナリオ型」の2種類があります。すべてにAIが搭載されているわけではありません。また、ChatGPTと連携可能なものとそうでないものがあります。
現状は質問と回答のマッチングを行うAIがメイン
AIチャットボットでは、どこにAIが利用されているのでしょう。
現在多くのサイトで見かけるAIチャットボットサービスでは、質問と回答のマッチング作業にAIが活用されています。利用者が自由入力で質問した内容に対し、AIは予め登録されたQAにもとづいて最も適切と思われる回答を提示しているのです。
「AIチャットボット=ChatGPTのような生成AIがその場で回答を作り出してくれるもの」というイメージを持つ方もいらしゃいますが、それはあくまで一部のAIチャットボットに過ぎません。(2024年4月現在)
「シナリオ型」と呼ばれる、AIが搭載されていないチャットボットもあります。詳しくはこちらをご参照ください。
AIチャットボットが得意とするもの
一般的なAIチャットボットは、事前に学習した多くの情報をもとに、言葉の意味を解読します。利用者が入力した単語や文章を分析し、表現にばらつきがあっても、意味が同じであれば同じ回答を提示することができます。
提示する回答を事前に登録をしておくため、基本的に誤った情報が表示されることはありません。つまり、以下のような対応を得意としています。
- 質問や回答の言葉の分析
- あらかじめ想定できる質問への回答
- Q&A形式での一般的な質問への回答
まとめると・・・
質問の表現がばらついていてもOK。同じ内容の質問には同じ回答をし、表示される情報は正確。
※質問者の意図と一致しない種類の回答を表示する可能性はあるが、回答の中身に誤情報はない。
回答はあらかじめ登録された通りに表示されるので、柔軟性、創造性はありません。また、事前に登録していない質問には答えられません。
AIチャットボットの回答例
AIチャットボットがどのように回答をするのか、具体的に見てみましょう。
例えば、AIチャットボットに「AIとは?」と質問してみます。
AIチャットボットは、あらかじめ登録されたQ&Aの中から、AIが正解(の可能性が高い)と判断した回答を選んで表示します。何度同じ質問を繰り返しても、言葉は違っていても、同じ内容の質問であれば、同じ回答を表示します。
2.ChatGPTとは
ChatGPTとは、2022年11月にOpenAI社(米・サンフランシスコ)がリリースした、「生成系AI(生成AI)」のサービスの名称です。GPTは「Generative Pre-trained Transformer」の略で、「生成可能な事前学習済み変換器」と訳されます。
ChatGPTに質問すれば回答まで作成してくれる、革新的なサービスとして大きな話題となりました。これまでは「検索サイトで答えを見つけて、自分で回答文を作成する」という手順だったものが、「ChatGPTに質問して、回答文をリアルタイムで作ってもらう」ことが可能になりました。自分で文章を作成する必要がなく、基本機能は無料で利用できるので、短期間で利用者数を大きく増やしました。
自然言語を生成するAI
ChatGPTは対話形式のAIです。主な特徴は以下の通りです。
ChatGPTが得意とするもの
ChatGPTは、翻訳や計算はもちろん得意で、検索サイトの代わりに何かを調べることに使ったり、基本的なプログラミングなどに活用したりすることもできます。
そして、何より得意なのは、文章の生成、創作です。膨大な量の学習データから必要な(必要と判断した)情報を選んで提供します。言葉はまるで人間のようで、表現力豊かに、自然なコミュニケーションを取ることができます。
実際にChatGPTに聞いてみました。
1. 一般的な知識の提供
ChatGPTは広範なトピックに関する情報を持っており、一般的な質問に対して答えることができます2.言語理解と生成
対話の文脈を理解し、自然な言語で応答を生成することが得意です。複雑な文章や長文にも対応できます。3.クリエイティブな応答
ChatGPTは独自の文章を生成することができ、クリエイティブな応答やストーリーの進行を提供することがあります。
まとめると・・・
複雑な文章、長い文章でも理解できる。幅広いトピックについての情報を持っていて、さまざまな分野の質問に対し、自然な言葉で回答できる。独自の文章、クリエイティブな応答、ストーリーを作成できる。
ChatGPTはまるで万能であるかのように思えますが、注意が必要です。
ChatGPTの注意点:
・学習データはインターネット上に存在した情報がメインで、それが事実かどうかは判断できない。
・言葉の出現頻度や相互関係から判断して文章を作成するので、誤った回答を作成する可能性がある。
・学習データには最新の情報が含まれないため、直近の話題についての質問には回答できない。
※ChatGPTの学習データの期間は無料版、有料版により異なります(2024/4/9現在)
ChatGPTの回答例
ChatGPTは、まるで人間であるかのように自然な言葉で、利用者と柔軟なコミュニケーションを取ることができます。(実際は機械的に生成されている文章なのですが、利用者にとってはコミュニケーションを取っているかのように感じます。)
試しに、ChatGPTに同じ質問を2回してみます。
回答は、質問されるタイミングで、その場で生成されています。何度も同じ質問をしてみると、その都度回答が異なります。また、自然できれいな文章なので、正しい情報だと信じてしまいそうになりますが、誤っているかもしれませんので、確認が必要です。
高性能AIチャットボット
3.AIチャットボットのよくある質問と勘違い
おかげさまで、弊社はAIチャットボットの導入を検討されている企業さまから、多くのお問い合わせをいただいております。今回は、その中から特に多く寄せられる、AIやチャットボットについてのご質問を中心に回答いたします。現在ご検討中の皆様のご参考になれば嬉しいです。
質問1:どこにAIが使われてる?
現在のAIチャットボットでは、前述の「質問と回答のマッチング作業」に加え、QAデータ作成、リアルタイムでの回答生成などにAIが活用されています。
①質問と回答のマッチング
フリーテキストで入力された質問に対し、以下の手順で回答を導き出します。
1)利用者が入力した質問を解読する
2)言葉のゆらぎ(表現のばらつき)を識別する
3)質問に対してもっとも適切だと思われる回答を選んで表示する
②Q&Aのデータ作成(連携機能)
チャットボットに回答を表示させるためには、事前に質問と回答を登録しておく必要があります。そのQAデータは担当者が準備する必要がありますが、ChatGPTのような生成AIと連携し、Q&Aを自動生成することが可能です。完成したデータは、Q&Aとしてチャットボットに登録できます。
※自動生成の際は予めテキストデータの準備が必要です。
③リアルタイムでの回答生成(連携機能)
Q&Aのデータ作成と同様、ChatGPT等の外部のAIと連携し、フリーテキストで入力された質問に対して自然な回答文をその場で生成します。
開発ベンダーによって、これらAIのどれを採用しているかは異なります。特に「ChatGPTと連携したい」とお考えの方は、どのように連携させたいのかという点を考慮のうえ、各ベンダーのプランをごご確認ください。
※弊社では、お客様のご希望に応じて受託開発が可能です。ご興味のある方は、ぜひいちどご相談ください。
質問2:自動学習はできる?
「自動学習」というのは、チャットログ(実際に入力された質問とその回答の記録)をもとに、チャットボットが自分で学習していくことです。
チャットボットが自動的に情報を更新していくことは、担当者が頻繁に手を加えなくてもよいので便利である反面、不要な情報や誤った内容も学習してしまうというリスクがあります。その点の捉え方により、チャットボットの自動学習については判断が異なり、開発ベンダーによって自動学習を行うものと行わないものがあります。
質問3:文章は生成してほしいが、限られた情報内で回答させたい
AIチャットボットに対して、
「登録用のQ&Aを作成するのは大変なので、ChatGPTで回答文をリアルタイムで生成したい」
「回答内容は正確でないとだめ。自社の都合に合わせて回答は情報を制限したい」
というふたつのご要望を頂くことがありますが、同時に満たすのは正直難しい場合があります。
繰り返しになりますが、生成系AIはあらゆる分野の質問に回答してくれる一方で、生成した回答は必ずしも正確ではないのです。
原稿を作ってもらう、自分では思いつかない創造的なアイディアを出してもらう、といったような、一般に公開しない使い方ならとても便利です。エンタメ系の話題作りにもよいかもしれません。ですが、正確さが重要な場合や、回答の情報範囲を制限したい場合などは、事前に登録した回答を表示する方が確実です。
質問4:チャットボットの用途は?
チャットボットの用途についてもよくご質問頂きますので、ここで紹介いたします。
チャットボットには、主に以下の3つの用途があります。
①問い合わせ対応業務の削減
顧客対応であっても、社内の従業員対応であっても、問い合わせ対応業務を削減することができます。
FAQ(よくある質問)をチャットボットに登録しておけば、担当者の代わりにチャットボットが回答してくれます。回答を間違えることも基本的にはありません。
チャットボットの導入により、担当者の負担が削減されます。
②リード・CV獲得
チャットボットを利用すると、
・24時間、年中無休で対応できる
・顧客、見込み客にとって、問い合わせへのハードルを下げることができる
・自社のサービス案内や登録画面に誘導できる
ということから、リード・CVの獲得数アップにつなげることができます。
③リードのナーチャリング
相手がチャットボットなら、利用者にとっては
・時間を気にする必要がなく、欲しい回答をすぐに探せる
・電話やフォームより気軽に質問でき、問い合わせのハードルが低い
・興味・関心を高める情報提供の場としても活用できる
ということから、自然な形で商品を売り込み、自社のサービスの理解を深めてもらうことが可能です。
質問5:導入にかかる期間は?
本記事のテーマであるAIと直接の関連性はありませんが、チャットボット導入にかかる期間についてもよくご質問をいただきます。ご参考までに、弊社のAIチャットボット「Tebot」を導入いただくまでの流れを簡単にご説明いたします。
Tebot導入までの流れ
1. お打ち合わせ:30分~60分程度
導入目的、導入背景などの確認
2. 初期設定:1~5営業日
シナリオ用データ(クライアントさま提供)をもとに、アノテテスタッフが無償代行
3. 無料トライアル開始
Q&A登録、機能・管理画面等の確認 ※スタッフによるサポートあり
4. 契約・導入開始(公開)
無料トライアルで設定した内容は、そのまますぐに公開できます。トライアル終了後、すぐに本格導入が可能です。
4.AIチャットボットの導入なら
株式会社アノテテではAIチャットボットならびにAIシステムの受託開発を行っております。
ご質問等ございましたら、お気軽にご連絡下さい!