AIシステム開発会社のアノテテです。サービスのひとつとして、AIチャットボット「Tebot」を提供しています。
現在数多くのチャットボットサービスがありますが、どれを選べばよいのか分からない、どのように検討すればよいのだろう、とお悩みの方もいらっしゃると思います。
シンプルな機能、価格面などから、簡単に導入しやすいのは「シナリオ型」チャットボットです。本記事では、チャットボットの基本と、「シナリオ型」チャットボットの特徴・導入メリットについて解説します。
※具体的な作成方法のみ知りたい方はこちら
▼この記事で解決できる疑問
・そもそもチャットボットとは?
・どんなチャットボットを導入すればよい?
・シナリオ型チャットボットって具体的にどんなもの?AI型との違いは?
そもそもチャットボットとは
企業や自治体のHPを開くと、画面の右下や左下に「ご質問をどうぞ」「チャットボットがお答えします」などと表示された小さな画面をよく目にするようになりましたね。この小さな画面がチャットボットです。簡単な質問なら、チャットボットに聞くとすぐに答えてくれます。
ボット=自動で応答してくれるプログラム
チャットボット(chatbot)とは、「チャット(chat)」と「ボット(bot)」を組み合わせたことばで、「チャット(会話)をする自動ブログラム」のことです。答えが決まっているものは、あらかじめ設定しておくとチャットボットが自動的に回答してくれます。
日々、同じ内容の質問が電話やEmailでたくさん寄せられる状況を想像してみてください。担当者が人間なら、毎回、1件ずつ、同じ内容の返事を返さなくてはなりませんね。このような決まりきった質問への対応こそ、チャットボットが得意とするものです。
よくある質問はチャットボットに任せてしまえば、担当者の負担が軽減されます。しかも、チャットボットは24時間365日稼働できるので、顧客満足度UPにもつながります。業務効率化や顧客とのコミュニケーションの手段として、チャットボットを導入する企業や自治体が増えているのです。
チャットボットには、大きく分けて「シナリオ型チャットボット」と「AI型チャットボット」の2種類があります。両方の機能を搭載している「複合型(ハイブリッド型)チャットボット」もあります。
「よくある質問は自動的に回答したい」
「情報の正確さが重要」
「まずは手軽に導入してみたい」
という場合は、「シナリオ型チャットボット」がおすすめです。
シナリオ型チャットボットとは
シナリオ型チャットボットをうまく活用するために、まずは「シナリオ型」とはどのようなものなのか、理解しましょう。
シナリオ=ユーザーを導く筋道
シナリオ型チャットボットでは、スムーズに会話が流れるようにするため、想定される質問とその選択肢をあらかじめチャットボットに登録しておきます。これを「シナリオ」と言います。
シナリオは、大きなカテゴリから段階的に小さなカテゴリへと分岐していき、最終的には利用者の質問を解決に導くように作成されます。
フローチャートをイメージすると分かりやすいですね。
シナリオ型チャットのイメージ
- チャットボットが複数の選択肢を提示する
- 利用者が選択肢の中から知りたい内容を選ぶ
- 選ばれた選択肢に基づいて、さらにチャットボットが選択肢を提示する
- 利用者が選択肢の中から知りたい内容を選ぶ
- ・・・ (必要に応じて繰り返す)
- 回答(利用者が求めていた情報)が表示される
AI型チャットボットとの違い
選択肢ではなく、利用者が言葉や文章を入力することで会話が流れていくのがAI型チャットボットです。選択ボタンではなく、文字による自然な会話のキャッチボールが成立します。文字で入力された質問をAIが分析して、適切だと判断した回答を表示するのです。
AIが言葉のゆらぎに対応するので、一字一句同じでなくても、同じ意味であれば、同じ質問であると判断します。
シナリオ型のチャットボットよりも、複雑で広範囲な問い合わせに対応できるのがメリットです。
シナリオ型チャットボットのメリット
広範囲な問い合わせに対応できるのであれば、「AI型の方がいい!」と思うかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。導入目的、利用方法などによって、どちらのタイプが適しているのかは異なります。
シナリオ型を選ぶメリットは、主に以下の3点です。
メリット① 低コスト運用が可能
シナリオ型チャットボットのメリットのひとつは、AI型と比べて費用が安いことです。通常、初期費用もランニングコストも、AI型より低価格です。AIを搭載していない分、機能もシンプルです。
チャットボット導入にまだ踏み切れない場合は、まずはコストのかからないシナリオ型で、試験的に運用して効果を検証してみるのもよいでしょう。
メリット② 短期間で導入できる
機能がシンプルで分かりやすいため、短期間で導入が可能なこともメリットです。同じような質問が多く寄せられるサポートデスクや、企業の総務部門などで、すでにFAQ(よくある問い合わせ)が用意されている場合は、新たにシナリオ原稿を作成する必要がないので、短期間でチャットボット導入が可能です。
メリット③ 属人化を防ぎ確実な回答ができる
シナリオ型チャットボットは、あらかじめ登録された回答を表示します。つまり、誰が質問をしても、同じ質問であれば、同じ回答しか表示されません。
人が対応する場合は、担当者によって回答内容が異なっていたり、特定の担当者にしか答えられなかったりすることがあります。AI型チャットボットだと、意図しない回答を表示してしまう可能性もあります。
シナリオ型チャットボットでは、このような問題を解決することができます。
属人化を防ぎ、確実で正確な対応が可能なのがシナリオ型チャットボットです。
シナリオ型チャットボットのデメリット
シナリオ型チャットボットには、メリットもあれば、当然デメリットもあります。AI型と比較して、どちらが自社の導入目的にあっているか、どちらが自社の利用方法に適しているかを考えることが大切です。
シナリオ型のデメリットは主に以下の点です。
デメリット① 柔軟な回答ができない
シナリオ型チャットボットでは、柔軟な回答ができません。あらかじめ登録されたシナリオに沿って、フローチャートのように順に会話が進んでいきます。事前に決められた質問に、選択肢でしか回答できないのです。つまり、言葉や文章の入力による質問はできません。AI型と比べて、柔軟な回答ができないことがシナリオ型のデメリットです。
デメリット② 離脱の恐れがある
シナリオ型チャットボットは、選択肢を選んでもらうだけの簡単な操作ですが、シナリオの作り方によっては、利用者が欲しい情報にたどり着くまでに時間がかかったり、途中で離脱したりするかもしれません。次のような場合です。
・選択肢が多すぎる
選択肢の数が多いと、利用者はどの選択肢を選べばよいのか迷ってしまいます。
・シナリオの階層が深すぎる
シナリオの階層が深い場合、利用者は何度も選択肢を選ぶことになるので、面倒に感じて途中でやめてしまうかもしれません。
このように、選択肢のみで誘導するシナリオ型では、シナリオの構成に注意が必要です。言葉を入力するだけですぐに回答を得られるAI型チャットボットと比べると、離脱率が高くなる恐れがあるのもシナリオ型のデメリットです。
デメリット③ ニーズを収集しにくい
シナリオ型チャットボットでは、利用者は選択肢でしか質問できないので、利用者が求めていた情報が提示された選択肢の中にあったのか、本当に知りたかった情報が何だったのか、など正確には把握できません。
探していた情報が選択肢の中に見つからず、利用者は途中で離脱してしまった可能性もあります。
利用者が直接入力した言葉を確認できるAI型と比較すると、利用者のニーズを正確に把握できないのがシナリオ型のデメリットです。
向いている企業・向いていない企業
シナリオ型チャットボットのメリット・デメリットから、自社に向いているか、向いていないかを確認してください。
シナリオ型が向いている企業
シナリオ型チャットボットのメリットは、以下の3点でした。
・ 低コスト運用が可能
・ 短期間で導入できる
・ 属人化を防ぎ確実な回答ができる
よって以下のようなチャットボットを求める場合はシナリオ型チャットボットが向いています。
①費用をあまりかけたくない
シナリオ型は機能がシンプルな分、低コストで導入できます。導入はしたいけれど、あまり予算をかけら
れない場合は、シナリオ型を検討しましょう。
②すぐに使いたいが効果測定は慎重に行いたい
チャットボットを導入しても効果があるかどうか分からない、という場合は、低コストかつ短期間で導入できるシナリオ型チャットボットで、まずは試験的に試してみてはどうでしょう。
③FAQがすでにある(問い合わせ内容がパターン化できる)
すでにFAQがある場合は、多くの場合そのままチャットボットのシナリオに設定できます。FAQとしてまとまっていない場合でも、ふだんから決まりきった質問が多い場合は、これを機会にパターン化してシナリオ用にまとめてしまいましょう。
シナリオ型が向いていない企業
シナリオ型チャットボットのデメリットは、以下の3点でした。
・ 柔軟な回答ができない
・ シナリオの作り方によっては離脱の恐れがある
・ 利用者のニーズを収集しにくい
チャットボットの導入目的は、最終的に利用者自身で知りたい情報を得てもらう(あるいは利用者を自社のサービスへ誘導する)ことです。
以下のようなチャットボットを求める場合は、シナリオ型ではなく、AI型の導入を検討しましょう。
①複雑な質問にも回答したい
シナリオ型チャットボットは、柔軟な対応はできません。想定される質問がパターン化できなくて、複雑な質問にチャットボットで対応したい場合は、シナリオ型よりもAI型が向いています。
②質問の種類が広範囲におよぶ
質問のジャンルが多いと選択肢が多くなり、利用者には分かりにくくなります。選択肢が少ない場合でも、階層が深くなれば(選択肢を何回も選ぶことになれば)、利用者にとっては面倒です。いずれの場合も、利用者が欲しい情報にたどりつくまでに時間がかかり、途中で離れてしまうかもしれません。
質問をジャンル分けするのが難しい場合や、質問内容が広範囲に及ぶ場合は、AI型の導入を検討しましょう。
③利用者のニーズを把握したい
シナリオ型では、利用者は提示された選択肢を選んでいくだけです。利用者が本当はどんな情報を探していたのかは、正確には把握できません。チャットボットで顧客のニーズを具体的に把握したい、マーケティングに利用したい、という場合は、文字入力で質問できるAI型を導入しましょう。AI型では、利用者が入力した文字情報を直接確認できるので、利用者のニーズを把握しやすいです。
導入前に準備すべきこと
シナリオ型チャットボットの導入を決めたら、最大限活用できるよう、準備をしましょう。
以下を参考にしてください。
- 目的を明確にする
- ターゲットを明確にする
- 質問と回答を書き出す
目的を明確にする
チャットボットの構築に入る前に、導入目的を明確にしましょう。解決したい課題を明らかにすると、シナリオ作成の方向性が見えてきます。
たとえば、以下のようなイメージです。
- オペレーターの負担軽減、顧客満足度UP → チャットボットで24時間商品案内、自動注文受付
- 総務担当者の業務を効率化 → 申請関係の問い合わせはチャットボットで自動対応し、申請画面へ誘導
- リード獲得、ウェブ回遊率UP → チャットボットで問い合わせ内容を把握し自社サイトに誘導
ターゲットを明確にする
チャットボットを利用するのはどのような人なのか、具体的にイメージしてください。お名前、年齢、性別、問い合わせの目的・背景など、具体的なターゲット(想定するユーザー像)を設定します。
ターゲットによって適切なシナリオが異なります。ターゲットを明確にしたら、
- 寄せられる質問内容とその回答
- 要望と求められる解決策
- チャットボットの言葉づかい
など、そのターゲットにあわせたシナリオを作成しましょう。ターゲットを決めるには、自社の顧客データや、これまで届いた問い合わせ内容のデータなどが参考になります。
質問と回答を書き出す
シナリオを作成するときは最初に、想定される質問・回答を一旦すべて洗い出してみましょう。既存のFAQ(よくある質問)を利用する場合は、回答を選択肢で選ぶことを考えて、質問文を簡潔にします。
ひととおり質問と回答を作成したら、カテゴリー別に分けて、同じような質問はできるだけひとつにまとめます。
シナリオの具体的な作り方とメンテナンス方法は次の記事でご紹介します。
無料トライアル可能なチャットボット「Tebot」
AIチャットボット「Tebot」は、シナリオ機能とAI(人工知能)の両方を兼ね備えた複合型のチャットボットサービスです。
シナリオ機能だけのシンプルかつ低価格なプラン(月額9,800円)もあり、無料トライアルが可能です。
「まずは実際に試してみたい」と思われたら、ぜひ無料トライアルをお申し込みください。