AIシステム開発会社のアノテテです。サービスのひとつとして、AIチャットボット「Tebot(ティボット)」を提供しています。
取引先への提案材料として、SaaS(クラウドサービス)を検討されたことはありますか。
この記事では、SaaSの代理販売で成果を出している5社の事例と、共通する売り方を紹介します。
この記事でわかること
・SaaSの代理販売に需要がある理由
・大手3社と地域の会社2社の事例
・成功している代理店に共通する売り方
・SaaS代理店でよくある疑問への答え

SaaSの代理販売とは
SaaS代理店とは、SaaSを提供するメーカーに代わって、顧客にサービスを紹介・販売する会社のことです。在庫を持つ必要がなく、納品も基本的にはアカウントの発行で済みます。
顧客と誰が契約するかによって、紹介型と再販型の2つのタイプに分かれます。
| 紹介型 | 再販型 | |
|---|---|---|
| 顧客と契約する会社 | メーカー | 代理店 |
| 請求・入金の管理 | メーカー | 代理店 |
| 代理店の収益 | メーカーから受け取る手数料 | 仕入れ値と販売価格の差額 |
紹介型には、見込み顧客を紹介するだけの形と、商談から受注までを担う形があります。
後者のほうが、手数料率は高くなる傾向があります。手数料の受け取り方は、月額料金の一定割合を受け取り続ける形と、契約時にまとめて受け取る形です。
再販型は、請求や一次サポートを自社で担うぶん手間が増えますが、価格をある程度自社で決められます。
「代理店」「販売店」「販売パートナー」など、呼び方はメーカーによって異なります。どのタイプかは、顧客と誰が契約するかで見分けると確実です。
SaaSの代理販売に需要がある理由
SaaSの代理販売に需要がある理由を実際の公開データをもとに整理します。
SaaS市場は2029年度まで拡大が続く見込み
富士キメラ総研の予測(2025年9月)によると、国内のSaaS/PaaS市場は2029年度に約3.4兆円に達する見込みです。
SaaSは「売り切り」ではなく、月額で利用してもらうサービス。つまり、一度売って終わりではなく、顧客との関係がずっと続きます。市場がこれだけ右肩上がりになるなか、SaaSメーカー側も自社の営業マンだけではカバーしきれず、「パートナー企業の販売網」を頼りにする動きが見えます。

サイボウズでは売上が3分の2をパートナー経由
サイボウズでは、業務アプリ「kintone」などの販売において、代理店を重要な販売パートナーと位置づけています。サイボウズの2025年12月期の実績によると、国内クラウド売上の66.0%(約219億円)はパートナー経由で作られており、前年比より32.4%増加、パートナー企業は約560社にのぼります。
2025年のセールス部門賞に、リコージャパンや大塚商会といった大手販売会社が選ばれていることからも、「いつもの販売会社からクラウド製品を買う」といった流れが定着していることがわかります。1社のデータとはいえ、SaaS企業にとって代理店は売上を根底から支える強力なサポーターと言っても過言ではないでしょう。

中小企業はIT製品を代理店経由で買うことも多い
調査会社のOmdiaの予測では、2026年の中小企業におけるIT支出(世界で約1.87兆ドル)のうち、79%がパートナー経由になるとされています。
また、IPA(情報処理推進機構)の調査によると、日本国内の中小企業が情報セキュリティ対策で困ったときの相談先は、社内の担当者に次いで「社外のIT関連業者・営業」が18.2%(従業員101名以上では41.4%)と高い割合を占めています。
つまり、「ITのことはよく分からないから、まずはいつもの業者さんに相談してみよう」といった中小企業のリアルな実態と、代理店が入り込める余白がデータからも読み取れます。

出典:Channel Dive(2026年2月、Omdiaの予測を報道)
出典:IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査 報告書」(2025年5月)117ページ
SaaSの代理販売で成果を出している大手企業の事例
ここでは、事務機の販売会社やIT商社など、本業を持ちながらSaaSの売上を伸ばしている大手3社を紹介します。
大塚商会

大塚商会は、複写機やパソコンなど事務機の販売とシステム構築を本業とする会社です。
2011年には「たよれーるMicrosoft 365」、2014年には「たよれーるAdobe CC」の提供を始め、他社のSaaSに自社オリジナルのサポートを付けて販売してきました。
パソコンなどを納めた顧客に、こうしたSaaSを含む周辺の商材もまとめて提案するのが、同社が「オフィスまるごと」と呼ぶ売り方です。その積み重ねもあり、2025年12月期のクラウド関連の売上は720億円(単体)と、前年から26.4%(※)伸びました。
※クラウド関連の売上(720億円・前年比+26.4%)は、大塚商会 決算説明資料によるもの
リコー
リコーは、複合機・OA機器の販売と保守を本業とする会社で、国内の販売はリコージャパンが取り扱っています。扱っているSaaSは、Microsoft 365や「RICOH kintone plus」、業種別の業務ソフトをまとめた「スクラムパッケージ」などで、複合機に業種別の業務ソフトとサポートを組み合わせて販売しています。
リコーではパソコンの入れ替えや法改正への対応など、顧客が仕組みを見直すタイミングに合わせて提案しており、2026年3月期にはスクラムパッケージの売上が803億円(前年比+7%)、販売本数が100,822本(同+11%)となりました。保守や月額料金のように継続して入る日本のストック売上も、15%伸びています。
※スクラムパッケージの売り上げは、リコー 決算説明資料によるもの
ダイワボウ情報システム

ダイワボウ情報システムは、パソコンや周辺機器などを販売店に卸すIT商社です。前の2社とは異なり、顧客への直接販売ではなく、販売店を通じて商品を提供しています。
SaaSについても、販売店向けの管理基盤「iKAZUCHI(雷)」を通じて提供しており、取り扱うSaaSは148ベンダー・301サービスにのぼります。
販売店はiKAZUCHI上で、複数のSaaSの契約・更新・請求をまとめて管理できます。2026年3月期のiKAZUCHI経由の取扱高は545.7億円と、前年から34.6%増加しました。2026年6月末時点のユーザーは12万社以上、契約は16万件以上に広がっています。
3社の本業と扱い方、成果を表にまとめます。
| 社名 | 本業 | 扱い方 | 成果(年度) |
|---|---|---|---|
| 大塚商会 | 事務機販売 | 自社サポートつきで提供 | クラウド関連720億円・+26.4%(2025年12月期) |
| リコー | 複合機販売・保守 | 業種別ソフトとセット | スクラムパッケージ 803億円・+7%(2026年3月期) |
| ダイワボウ 情報システム | IT商社 | 販売店に卸す | 取扱高545.7億円・+34.6%(2026年3月期) |
3社はいずれも、すでにある取引先や販売網を通じてSaaSを届け、売上を伸ばしています。
地域の会社がSaaSの代理販売で成果を出している事例
ここからは、地域に根ざした会社がSaaSを扱う例として、弊社が提供するAIチャットボット「Tebot」を販売している代理店2社を紹介します。Tebotは、Webサイトに来た人の質問に自動で答えるチャットボットです。
企業のAI・DX支援:伊予鉄AIコンサルティング株式会社

伊予鉄AIコンサルティング株式会社は、愛媛県松山市に拠点を置き、企業のAI・DX支援を手がける会社です。AI製品を分野ごとに複数取り扱っており、Tebotもそのひとつです。
取り扱いサービスは、オフィス向け生成AIツール、AIチャットボット、自社専用AI・AIアシスタント、業界特化型AIソリューションなど多岐にわたります。
伊予鉄AIコンサルティングでは、2019年よりRPA※を中心にITツールを提案してきました。
生成AIが注目されるにつれ、顧客から問い合わせ対応の効率化や人手不足の解消について相談を受けることが増え、2025年にTebotの取り扱いを始めています。
伊予鉄AIコンサルティングにとって、Tebotはほぼ初めて取り扱うAI製品でした。しかし、チャットボットの活用が一般的に広がっていたこともあり、製品の理解や顧客への紹介がしやすく、提案を進めやすい商品だったといいます。
営業活動では、訪問先の顧客にチャットボットのニーズをヒアリングしながら提案を進めています。
愛媛県内でホテルや温泉施設を運営する顧客への提案では、一度は導入の話が見送られたものの、再訪時に「客室案内の冊子の差し替えに時間がかかっている」という課題を把握。冊子の代わりにTebotへアクセスできるQRコードを設置する方法を提案し、導入につながりました。
また、Tebotの取り扱いを開始したことで、従来のRPAによる事務作業の効率化に加え、提案できるソリューションの幅が広がりました。その結果、訪問先の業種・業界が多様化し、既存顧客への新たな提案機会も増えたといいます。

※RPA:パソコン上の定型的な事務作業を自動化するツール
総合広告代理店:株式会社弘文
株式会社弘文は、名古屋市に本社を置く、動画・Web・デジタルブックなどデジタル広告を中心とした総合広告代理店です。東海地区を中心に、広告・印刷やイベント・SPに加えて、DX化が進んでいない企業やIT人材が不足している企業に向けて、ITツールの選定や導入支援も手がけています。
現在はLINE WORKSやAPPCO、WISEBOOKSといった企業のDX化を促進するツールを中心に取り扱っています。また、kintoneなどのグループウェアを使った業務効率化の提案にも力を入れており、2023年6月頃に知ったAIチャットボット「Tebot」も、そうして加わったツールのひとつです。
Tebotについては、次の点を評価し顧客への紹介を始めました。
・初期費用がなく、価格面でも顧客に提案しやすい
・管理画面がシンプルで、顧客側でも迷わず運用できる
・担当者が他の業務と兼任していても、手間をかけずに運用できる
どのツールも販売して終わりにせず、導入後に現場が使いこなせるところまでフォローしているのが弘文の特徴です。複数のツールを並行して支えているため、システム間の連携や運用の課題に早く気づけることを強みとしており、初期費用なし・低コストで提案できるツールを選ぶことで、顧客企業の導入のハードルも下げています。
上記2社は、本業で請け負っている支援や業務の流れのなかでTebotを提案・提供しています。
成功している代理店に共通する売り方
5社の事例から見えてくる売り方の共通点について整理します。
本業の顧客にSaaSを重ねている
大塚商会・リコー・伊予鉄AIコンサルティングに共通しているのは、新しい顧客を探すだけでなく、すでに取引のある顧客にSaaSを追加提案している点です。
たとえば大塚商会は、パソコンなどの取引をきっかけに、顧客が必要とする周辺商材までまとめて提案しています。リコーも、機器の販売に加えて、それぞれの業種に合ったソフトを組み合わせて提案しています。
伊予鉄AIコンサルティングも同様です。これまでRPAを提案してきた企業を訪問するなかでチャットボットの需要を聞き取り、課題に合わせてTebotを提案しています。Tebotを扱ってから、既存の取引先への提案も増えました。
すでに取引のある顧客であれば、日々のやり取りを通じて、困りごとや新たな課題を把握しやすくなります。そこで、課題に合うSaaSを既存の提案にプラスする。こうした形であれば、新規顧客の開拓だけに頼らず、扱う商材や提案の幅を広げていけます。
SaaSの導入・運用まで支援している
リコー・大塚商会・弘文は、SaaSを販売するだけでなく、導入やその後の運用まで含めて支援することを強調しています。
リコーは、サポートを組み込んだパッケージを提供し、日本でのストック売上を15%伸ばしました。大塚商会も、他社のSaaSに自社のサポートを付けて提供しています。弘文では、導入後に顧客がツールを使いこなせるようになるまで、継続してサポートしています。
SaaSは、導入しても十分に活用されなければ継続利用につながりません。そのため、販売後の導入・運用支援まで提供できることが、継続的な売上をつくるうえで重要になります。
契約や請求の管理を卸に任せている
取り扱うSaaSが増えると、契約や更新、請求などの管理業務も増えていきます。こうした負担を減らすために、卸が用意する管理の仕組みを活用する方法があります。
たとえば、ダイワボウ情報システムの「iKAZUCHI」では、販売店が複数のSaaSの契約や請求をまとめて管理できます。
SaaSの取り扱いを増やすときは、「何を売るか」だけでなく、契約や請求などの管理を無理なく続けられるかも重要です。こうした卸の仕組みを利用できるかどうかも、取り扱う商材を決める際の判断材料になります。
SaaS代理店に関するよくある質問
SaaSの代理販売を検討するときによく出る疑問を、5つにまとめました。
- Q紹介型と再販型の違いは?
- A
違いは、顧客と誰が契約するかです。紹介型の場合、契約はメーカーと顧客が直接結び、代理店は紹介や提案までを担います。再販型の場合は代理店が顧客と契約し、サポートや追加のサービスも提供します。
紹介型の報酬には、月額料金の一部を受け取り続ける形があります。呼び方はメーカーや記事によって異なるため、誰と契約するかで見分けると確実です。
- Q代理店を募集しているSaaSはどう探しますか?
- A
メーカー公式サイトの「パートナー募集」ページ、代理店募集のポータルサイト、ダイワボウ情報システムのような卸の取扱一覧から探せます。代理店募集の代表的なポータルサイトには、法人向けビジネスに強い「ビジェント」や、掲載案件数が業界最大級の「代理店募集.com」などがあります。
AIチャットボット「Tebot」では代理店を募集しております。お問い合わせはこちら
- QSaaSの代理店になるのに条件はありますか?
- A
条件は制度によって異なります。代理店をランク分けし、上のランクほど高い販売目標や、製品の認定資格の取得を求める制度もあります。扱いたいSaaSが決まったら、販売目標や研修の有無をパートナー募集ページや問い合わせで確認しておくと、取り扱いを始めてからの負担を見積もれます。
- Q複数のSaaSを同時に扱えますか?
- A
基本的には扱えます。ただし、SaaSごとに契約・更新・請求の管理が増えます。管理の負担を抑えたい場合は、ダイワボウ情報システムのiKAZUCHIのように、複数のSaaSをまとめて管理できる卸の仕組みを使う方法もあります。
- QIT企業でなくても扱えますか?
- A
扱えます。この記事で紹介した事例でも、事務機の販売会社(大塚商会)、複合機の販売会社(リコー)、広告代理店(弘文)がSaaSを販売しています。
本業の顧客が抱える課題と、SaaSの用途が合っているか。扱う商材を選ぶときは、そこから考えるのがおすすめです。
SaaSの代理店としても始めやすい「Tebot」

弊社のAIチャットボット「Tebot(ティボット)」は、この記事で紹介したAI・DX支援の企業様や広告代理店のほかにも、さまざまな本業を持つ会社に取り扱っていただいています。
Tebotは初期費用がかからず管理画面もシンプル、月額費用も手軽なため顧客に紹介しやすい製品としてご評価いただいております。導入後は、顧客の担当者が他の業務と兼任しながらでも運用を続けられます。
問い合わせ対応に課題を感じている企業様への提案の選択肢の一つとして、ぜひご検討ください。
