【注意点と事例紹介】自治体のAIチャットボットを導入成功させるポイントとは

基礎知識

AIシステム開発会社のアノテテです。
サービスのひとつとして、AIチャットボット「Tebot」を提供しています。  

さまざまなサイトで頻繁に見かけるようになったチャットボット。一般企業だけでなく、全国の自治体でも市民サービスの向上や職員の業務効率化などの目的で導入が進んでいます。

今回は、自治体でのチャットボット導入状況・活用例についてお伝えします。

この記事で分かること:
・自治体でのチャットボット導入の現状やメリット
・導入前に知っておくべき自治体チャットボットの基礎知識
・実際の導入事例と失敗しないポイント

1.増える自治体のチャットボット活用

総務省の調査によると、令和3年度時点で都道府県・指定都市でのAI導入率はすでに100%となっています。その他の市区町村でも令和4年度では45%が導入済み、実証中・導入予定・検討中とあわせると約70%が導入に向け取り組んでいる状況です。

画像引用:https://www.soumu.go.jp/main_content/000934146.pdf

特にチャットボットは、住民への行政サービスの案内や旅行客への観光情報案内といった情報提供の手段としてよく活用されています。また、職員向けのヘルプデスクとして業務ルール等の案内に活用される例もあります。

画像引用:https://whttps://www.soumu.go.jp/main_content/000934146.pdf

2. 自治体によるチャットボット導入メリット

自治体のサイトにチャットボットを設置すると、住民側・自治体職員側のどちらにも大きなメリットがあります。

住民が知りたい情報にすぐたどり着ける

自治体サービスの種類は多岐にわたるため、ウェブサイト内の情報量はどうしても多くなります。そのため、住民がサイト内で何かの情報を探すとき、どのページを見ればよいのかすぐには分からないことがよくあります。

チャットボットはそのような情報にあふれたウェブサイト内の導線を増やし、必要な情報にたどり着きやすくする、いわば道しるべのような役割を果たすことができます。

人手不足を助ける業務アシスタントとなる

自治体の職員は窓口・電話・メール等さまざまな手段で住民からの問い合わせに対応する必要がありますが、特に電話での問い合わせは業務の中断を招き作業効率を低下させる恐れがあります。

チャットボットを導入することで、職員は他の作業に集中でき、人手不足の問題も緩和されます。また、チャットボットは常時稼働するため、役所の閉館時間でも住民の問い合わせに自動で対応できます。

予期せぬニーズを発見できる

チャットボット導入のメリットは、時間や業務の効率化だけではありません。窓口や電話では遠慮して言葉を選ぶ住民も、チャットボットには本音を伝えるかもしれません。予期していなかった住民のニーズが、チャットボットで分かることもあるのです。

多くのチャットボットには分析機能が搭載されており、
 ・選択肢から多く選ばれた(クリックされた)質問はどれか
 ・入力欄にはどのようなキーワードが多く記入されたか


といったデータを検証することができ、住民の疑問・関心事などの発見にも繋がります。これまで気づかなかった住民のニーズや課題を発見できれば、サービスのさらなる向上・改善が可能です。

3. 自治体が知っておくべきチャットボットの基礎知識

「チャットボットを試してみたいけれど、どうやったらいいの?」「サービスが多すぎて調べるのが大変」と悩まれている方にもすぐ分かるように、チャットボットの基本情報をお伝えします。

初期費用と月額費用

チャットボットの基本利用料には、「初期費用」と「月額費用」の2種類があります。

① 初期費用(導入費用):無料~50万円以上
導入時に、最初に必要となるのが初期費用です。通常は導入時に1度だけ発生します。
費用は、無料の場合もあれば50万円以上する場合もあり、サービスを提供するベンダーによって異なります。価格帯の幅は、チャットボットの種類・機能、・カスタマイズの有無・サポートの種類などに起因します。

② 月額費用(ランニングコスト):数千円~10万円以上
導入後は、毎月の利用料が必要となります。サービスによって年払いの場合もあります。
月額費用もチャットボットの種類や機能などによって異なり、数千円から10万円以上するものまで価格帯の幅は広くなります。種類と価格帯については次章でご説明します。

チャットボットの種類と月額費用のめやす

チャットボットの種類は、大きく分けて「シナリオ型」と「AI型」の2種類があります。その両方の機能をもつものを「ハイブリッド型」といいます。また、AI型の中には認識系AIをベースにしたタイプ(従来型)と、生成系AIで回答するタイプがあります。

① シナリオ型チャットボット

シナリオ型は、提示された選択肢を選んでいくことで知りたい情報を得る、いわゆるフローチャート形式のチャットボットです。「一問一答型」「ルールベース型」「選択肢型」とも呼ばれます。

よくある質問やあらかじめ想定される質問を事前に登録しておけば、利用者は選択肢を選ぶだけで知りたい情報を得ることができ、操作がシンプルで分かりやすいといったメリットがあります。一方で、選択肢にない質問には答えられないので、柔軟な対応はできません。

月額費用の目安:月額1万円~数万円

② AI型(認識系、従来型)

AI型のチャットボットは、利用者が入力した質問内容に対し、AIが最も適切だと思われる回答を探し出して提示します。そのため、予め決められた選択肢を選ぶシナリオ型よりも柔軟な対応が可能です。
一方で、PC操作や文字入力になれていない利用者にとっては、少しハードルが高く感じられる可能性もあります。

月額費用の目安: 5万円~数十万円 ※機能やサービスによって異なります

③ ハイブリッド型

シナリオ型とAI型の両方を搭載したチャットボットです。利用者は選択肢から質問を選ぶこともでき、入力欄に言葉を入力して質問することもできます。両方の良い面をあわせ持つので、使い勝手がよく、柔軟な対応も可能です。機能が増える分、管理者側にPC操作やITについての基本知識が必要かもしれません。

[月額費用の目安]:月額5万円程度から数十万円 ※機能やサービスによって異なります

④ 生成系AI型

ChatGPTなどの生成系AIと連携して、チャットボットが回答を生成するサービスも増えています。

生成系AIを活用したチャットボットの場合、ユーザーが入力した質問に対し、AIが都度リアルタイムに回答を生成するため、事前に「シナリオ」や「Q&A」を準備・登録する必要はありません。データを登録しなければ回答できない「シナリオ型」や「認識系AI型(従来型)」のチャットボットと比べると、事前準備に工数がかからず、すぐに導入できるのがメリットです。

生成系AIが作成する回答は都度表現が異なり、一定でない可能性があるのが懸念点ですが、AIが回答生成の際に参照するデータを特定の情報のみに限定することで、回答精度を高めたチャットボットサービスが活用されつつあります。

月額費用の目安:月額費用10万円~
※カスタマイズ要素が大きいため、費用は公開されていないことが多いです

4. 自治体のチャットボット導入事例

ここまで自治体におけるチャットボットの導入状況と、メリット、費用についてお伝えしてきました。
ここからは具体的な導入事例を3件ご紹介します。

導入事例① シンプルな一問一答形式を活用 [シナリオ型]

自治体K様
チャットボット設置場所:事業Aの特設サイト
チャットボットのタイプ:シナリオ型

活用方法:
・ひとつの事業に限定したチャットボットを特設サイトに導入
・多く寄せられる質問をカテゴリ分けし、住民は知りたい情報を選択していくシナリオ形式を採用
・質問内容が選択肢にない場合のみ、電話対応できるよう問合せ先の情報を掲載

自治体K様は事業Aに特化したチャットボットを導入したため、住民からの問い合わせ内容が想定しやすく、基本的な質問はほぼチャットボットで対応可能な形となりました。また、シナリオ型でシンプルな作りのチャットボットなので短期間で導入準備ができ、低コストで運用できます。

導入事例② シナリオ型&AI型の併用 [ハイブリッド型]

自治体S様
チャットボット設置場所:事業Bの特設サイト
チャットボットのタイプ:ハイブリッド型

活用方法:
・事業Bについての質問に限定したチャットボットを導入
・自治体K様と同様、まずは多く寄せられる質問をカテゴリ分けして、シナリオ形式で登録
・広範囲な質問にも柔軟に回答できるよう、Q&Aを登録してAI型も利用。これにより、よくある質問に対してはシナリオ型で対応し、選択肢にない質問に対してはAI型で回答できる体制に。


自治体S様は、ハイブリッド型のチャットボットを活用することで、事業Bに関する一般的な質問はチャットボット内で完結できるように工夫されました。結果、電話やメールからの問い合わせの数が減少し、より効率的な運営体制を整えることができました。

導入事例③ 生成系AIを用いたチャットボット[生成系AI型]

庁内のナレッジ共有を目的とし、生成AIを活用したチャットボットの導入や検証も進んでいます。以下はある特定の事業において、住民からの問合せ対応のためにご活用されたチャットボットの事例です。

自治体I様
チャットボットの設置場所:自治体専用のクラウドサーバー ※登録データは職員間で共有
チャットボットタイプ  :生成系AI(内部利用)

活用方法:
・事業Cに関する問い合わせ対応のためのチャットボットを導入
・通常職員が参照している業務データをチャットボットに登録
・職員がチャットボットに事業Cついての質問をすると、チャットボット(生成系AI)が回答を生成
・チャットボットが作成した回答をもとに、職員が住民へ返答
・専用サーバーで運用するので、セキュリティ面も安心

自治体I様は、住民の問い合わせ対応のために、特別なシナリオやQ&Aを作成する必要がないAIチャットボットを導入されました。このチャットボットは事業Cに関するデータをもとに自動で回答を生成し、職員は専門知識を学んだり大量の資料を読む必要がありません。生成された回答は職員が確認してから住民に提供され、正確な情報伝達が可能です。

※一般公開されている生成系AIは、誤った回答を作成するリスクが懸念されていますが、上記のようなビジネス用チャットボットでは、回答作成のベースとなる情報を限定できるので、誤回答のリスクが大幅に低減されます。

5. 失敗しないチャットボットの導入ポイント

「チャットボットを使ってみたい!」と思われた方のために、導入の際におさえておきたいポイント・注意点をお伝えします。

明確な目的やゴールの設定を

チャットボット導入の際にまず確認しておきたいのが、チャットボットを利用する目的・ゴールです。ご紹介した導入事例はどれも、ひとつの事業で専用のチャットボットを運用しています。利用場面が限られているので、チャットボットで対応すべきことが明確になります。

便利そうだからといってなんでもチャットボットで解決しようとすると、登録する情報の種類や量が増えて複雑になり、かえって非効率になるかもしれないのでご注意ください。ひとつの分野に絞った方が、利用者(住民)にとっても、管理側(自治体)にとっても、目的が明確で使い勝手がよいチャットボットになります。

メイン担当者を決める

チャットボット導入が決まったら、社内体制を整えておくとスムーズに運用できます。管理のためのメイン担当者をひとり決めておくことをおすすめします。

以前、各部署の複数のチャットボット担当者がQAを登録したことにより、お客様がかえって混乱する不便なチャットボットになってしまった例がありました。各々が自由にQAを登録すると、回答の選択肢が増えてしまったり、質問と直接関係のない回答が表示されるリスクが増えてしまいます。
事前にメイン担当者を決め、各自の情報を精査の上したうえでチャットボットに登録する、といった体制を整えることが重要です。

特に、ひとつのチャットボットを複数の部署で運用する場合は、担当者・役割・方針など運用ルールをしっかり決めておくと、利用者・管理者双方において便利なチャットボットになります。

無料トライアルを活用する

数多くリリースされているチャットボットの中から、自分の部署にあったものを選ぶために、ぜひ無料トライアルをご活用ください。

大きくはシナリオ型とAI型に分けられるチャットボットですが、それぞれ実際に操作・比較してみると、その違いがよく理解できます。また、同じタイプのチャットボットでも、複数のサービスを比較することで、機能・操作性・サービス内容などそれぞれの特徴がよく分かります。

6. 導入のハードルが低いAIチャットボットTebot

今回は、自治体においてもチャットボットの導入が進んでいること、チャットボットの種類や活用メリットなどをご紹介しました。

Tebotは、「ハイブリット型」の高性能AIチャットボットサービスです。AI型、シナリオ型の両方の機能をTebotひとつでお試しいただけます(有人チャット機能付)。また、Tebotで生成系AI型のご利用も可能です。

お客様のニーズにあったチャットボットのタイプ、活用方法をご提案しますので、お気軽にお問い合わせください!

AIチャットボットサービス「Tebot
  • シナリオ機能とAI(人工知能)を兼ね備えた複合型チャットボット
  • Q&A自動生成機能あり(ChatGPTと連携)
  • 初期設定無償代行など、導入から運用開始後も手厚いサポート付
  • 業界最安水準の価格設定
  • 14日間の無料トライアルあり
  • 生成AI回答オプションあり
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