AIシステム開発会社のアノテテです。サービスのひとつとして、AIチャットボット「Tebot(ティボット)」を提供しています。
2025年現在、上場企業を含む981社のうち、言語系生成AIを導入している企業は2025年現在41.2%に達し、前年度の26.9%から大幅に増加しています(※)。AIの活用を意識する企業が増える中、「進化に追いつけていない」「うまく活用しきれていない」といった企業様も少なくありません。
この記事では、toB向けAIチャットボットの種類や仕組み、選び方、導入目的別の活用事例まで解説します。
(参考:https://juas.or.jp/library/research_rpt/)
この記事で解決すること:
・AIチャットボットの基本知識
・実は色々あるAIチャットボットの種類と仕組み
・企業向けAIチャットボットとChatGPTとの違い
・具体的なAIチャットボットの活用事例
そもそもチャットボットとは
チャットボットとは、ユーザーの質問や入力に対して自動で返答するツールのことです。人間が応対する代わりに、あらかじめ用意されたシナリオやAIによって、24時間いつでも対応が可能になります。企業向けチャットボットには大きくわけて主に2種類あり、ルールに従って決められた選択肢で応答する「シナリオ型」と、AIを活用して柔軟な返答ができる「AI型」に分かれます。
導入の目的としては、Webサイトや社内での問い合わせ対応の効率化、カスタマーサポート業務の削減、リード獲得のためのマーケティングツール等、様々な使われ方がされています。
従来のチャットボット(シナリオ型・ルールベース型)

従来型のチャットボットは、あらかじめ決められた会話パターンに沿って応答する仕組みです。ユーザーが入力した内容に対して、事前に設定された選択肢やルールに基づいて返答します。この形式は柔軟性に乏しいものの、定型的な業務や簡単な問い合わせ対応には十分対応可能です。AIによる処理は行わないため、「AIチャットボット」とは明確に区別されますが、導入コストが低く(数千円から可能)、短期間で始められる点が魅力です。
AIチャットボットの登場と種類の違い
AI技術の進化により、チャットボットは従来のルール設定型から大きく進化しました。ルールを1つ1つ登録する必要もなく、設定が容易でかつ柔軟な自然言語での会話が可能になりました。
ただし「AIチャットボット」とひとくちに言っても、その仕組みや得意分野には違いがあり、価格も様々です。次の章では代表的なAIチャットボットの3タイプを紹介し、それぞれの特徴や使いどころを詳しく解説します。
AIチャットボットの3タイプとその違い
AIチャットボットは大きく3つのタイプに分かれ、それぞれ適した業務が異なります。ここでは各タイプの特徴を整理します。
1. マッチング(認識)型AIチャットボット

マッチング型AIチャットボットは、ユーザーが入力した質問に対し、あらかじめ登録されたFAQから意味の近い内容を見つけて返すタイプです。単なるキーワード一致ではなく、言い回しの違いや類義語にも対応し、近い意味の質問と回答をマッチングしますが、あくまで既存の情報の中から「選ぶ」仕組みで構成されています。その精度はベンダーの技術力やFAQデータ設計とチューニングによって異なります。
特長
・定型的な質問に対しては高精度な回答が可能
・回答の一貫性・安定性があり、誤答リスクが低い
・FAQや社内ヘルプなど、あらかじめ整理された知識を活用する業務に最適
・前後の文脈理解は対応範囲外
▶よく設置される場所:ウェブサイトやアプリ上
2. 対話型生成AIチャットボット

対話型生成AIチャットボットは、ChatGPTのような大規模言語モデルを活用し、ユーザーの質問や入力に対して自然な会話形式でその場で文章を生成して返答します。ウェブサイトや連携アプリ上で使用されているケースも多く、情報提供・提案・資料請求などの導線設計にも適しています。また、ウェブサイト上では①のマッチング型と併用されることも多く、まずは定型的な質問にFAQで対応し、より複雑な自由入力に対してはこの②の生成AIでカバーするというハイブリッドな構成が主流です。
※ChatGPTそのものも対話型生成AIチャットボットに属しますが、toB向けとの違いについては次の章でご説明します。
特長
・想定外の質問や自由な表現にも自然に応答できる
・会話の文脈を理解し、ユーザーの意図に応じて柔軟な対応が可能
・FAQが整備されていなくても、ユーザーへの対応が可能であるため導入期間が短い
・回答をリアルタイム生成するため、都度内容は異なる可能性がある
▶よく設置される場所:ウェブサイトやアプリ上
3. ドキュメント回答特化型AIチャットボット

ドキュメント回答特化型チャットボットは、指定されたマニュアルやPDF、社内文書などの内容をもとに、質問に対する答えを生成する形式です。会話そのものよりも、ドキュメントの中から該当する情報を要約して返すという動きが中心になります。
そのため、①のマッチング型と②の対話型のチャットボットとは用途が異なり、検索エンジンのような情報抽出ツールに近い感覚で利用されることも多く、特に社内での業務効率化や文書ベースの情報参照が多い業務に適しています。
※無料で個人利用できるものだとNotebookLMなどがこれにあたります。
特長
・マニュアル・規定集・仕様書などの参照に強い
・回答には根拠(文書の出典)があるため信頼性が高い
・質問の幅は基本的に文書の中に限られる
・会話の流れや感情的な表現には対応しない
▶よく設置される場所:社内イントラネット内など
比較表:AIチャットボットの種類と特徴まとめ
1. マッチング型AIチャットボット | 2. 対話型生成AIチャットボット | 3. ドキュメント回答型生成AIチャットボット | |
---|---|---|---|
回答方法 | 登録済みQ&Aから選択 | 文脈を理解し自然文を生成 | 指定文書を要約・生成して回答 |
柔軟な会話対応 | △ (言い換えなど対応可) | ◎ (自然な対話が対応) | ○ (意味理解と文書から柔軟に回答) |
文脈理解 | × | ◎ (履歴をふまえた自然な会話が可能) | ○ (補足質問にある程度対応可能) |
主な用途 | FAQ対応、 社内問い合わせ | FAQ対応、社内問い合わせ、自然で柔軟な対話 | ナレッジ活用、社内文書検索 |
特徴的な機能 | 安定性・誤答リスクが 少ない | 自由文生成、QA自動生成(※)、UX向上 | 出典付き回答、複数文書対応 |
生成AI搭載 (回答をAI生成) | × | ◎ | ◎ |
※QA自動生成機能とは?
併用されやすい①のマッチング型と②の対話型生成AIIチャットボットでは、別途「QA自動生成機能」の利用が可能な場合があります。(提供ベンダーによります)QA自動生成機能を使うと、URLや指定のドキュメントを学習させるだけでQAが自動的に生成され、導入時の手間を削減できます。
企業向けと個人向けAIチャットボットの違いとは?
法人利用を前提としたAIチャットボットと、個人レベルで気軽に使えるChatGPTなどの汎用AIチャットサービスでは、機能やセキュリティ、運用体制に大きな違いがあります。このセクションでは、ChatGPTのような汎用AIチャットサービスと、企業向けのAIチャットボットの違いをわかりやすく比較して解説します。
企業向けAIチャットボット
企業向けAIチャットボットは、業務用途に特化して設計・開発されたチャットボットです。FAQや業務マニュアル、商品データなど特定の情報を学習させることができ、利用者からの質問に対して、企業独自の正確な回答を提供します。さらに、CRMや業務システムとの連携により、予約管理や顧客対応といった実務レベルの処理も可能です。またログ蓄積・KPI分析・セキュリティ制御など、法人利用に欠かせない機能も充実しており、設計〜運用サポートが一体化したベンダー製品も多く存在します。
ChatGPTなどの汎用AIチャットツール
ChatGPTはOpenAIが提供する汎用的な対話AIで、誰でも気軽に使えるのが特長です。自然な言語でやりとりができ、文章生成やアイデア出しといったクリエイティブな用途にも幅広く対応しています。ただし、CRMや業務システムとの連携を前提としておらず、また、会話ログの管理やKPI分析などの機能も標準では備わっていないため、業務効率化やCS向上を目的とした本格的な導入には向かないケースが多いです。
比較表:企業向けチャットボットと汎用AIチャットツールとの違い
想定利用ターゲット | 法人・業務部門 | 個人 |
比較サービス | 企業向けAIチャットボット | ChatGPT(Web版) |
システム連携 (CRM・業務システム等) | 〇 | △ |
会話ログの蓄積・分析 | ○(ログ管理・KPI可視化) | △ |
セキュリティ体制 | ○(閉域運用・情報統制あり) | △(一般向けレベル) |
導入支援体制 | ○(要件定義~運用サポート) | なし |
※Web版ChatGPT(個人利用)と、弊社のAIチャットボット「Tebot」との比較
目的別に見るAIチャットボット導入事例
ここでは弊社で提供しているAIチャットボット「Tebot」活用事例を目的別にご紹介します。
どのような背景・課題があり、導入によってどのような効果が得られたのかを簡潔にまとめました。
A社様:社内問い合わせの自動化

■ AIチャットボットの導入を検討した背景
・社員からの人事・総務系の問い合わせが電話やメールで多発していた
・同じ質問が繰り返され、対応に多くの時間がかかっていた
・担当者の本来業務が圧迫されていた
・問い合わせ内容は、勤怠管理・経費精算・福利厚生に関するものが中心だった
■ 導入・活用方法
チャットボットの導入種類:シナリオ型+マッチング型AI
A社様では、すでに活用していたLINE WORKSとチャットボットを連携することで、導入のハードルを下げ、自然な形で社内運用をスタートしました。
よくある質問には選択肢で案内するシナリオ型チャットボットを活用し、利用者がスムーズに目的の回答へたどり着ける設計に。一方で、自由入力による問い合わせにも対応できるようマッチング型AIチャットボットも併用し、より柔軟な対応が可能な体制としました。
FAQの内容は、勤怠ルール、経費精算の手順、福利厚生制度などを中心に構成。結果として、担当部門の負荷が大幅に軽減されただけでなく、対応スピードも向上し、社内の業務効率全体にも良い影響を与えています。
B社様:toC向けカスタマーサポート+リード獲得

■ AIチャットボットの導入を検討した背景
・自社サイトのユーザーから「会員登録」「サービス内容」など定型的な問合わせが多かった
・必要な情報にたどり着けず、サイト離脱の懸念があった
・問い合わせ対応の負担が大きく、リソースが圧迫されていた
・業務効率化とユーザー体験の向上が求められていた
■ 導入・活用方法
チャットボットの導入種類:シナリオ型+マッチング型AI
B社様は、サイト内にシナリオ型とマッチング型AIチャットボットを併用し、利用者がストレスなく必要な情報にアクセスできる環境を整えました。
シナリオ型では、商品の選び方やサービスの流れ、登録・購入手続きなどを選択肢ベースで案内。ユーザーが途中で迷わないよう「前の選択肢に戻る」ボタンを設置し、チャットの途中離脱を防ぐ設計にしています。
加えて、自由入力による質問にはマッチング型AIが対応。多様な表現に対しても意味をくみ取って返答できるため、シナリオ型で対応しきれない質問をカバーします。キャンペーン情報や特集ページへの誘導もチャット内で実施し、コンバージョンや回遊率の向上にも貢献しています。
現在は1日あたり600〜700人がチャットボットを利用し、約3,000件の質問に対して95%以上の解決率を維持。業務負担の削減と同時に、新規顧客の取りこぼしを防ぐ重要な導線として機能しています。
C社様:toB向け業務支援システムのカスタマーサポート

■ AIチャットボットの導入を検討した背景
・製品の操作に関する問い合わせが多く、サポートセンターが対応していた
・同じ内容の問い合わせが繰り返され、一次対応が非効率だった
・人的コストがかさみ、製品価格への影響も懸念されていた
・問い合わせ傾向の分析が手作業で、改善に活かしづらかった
■ 導入・活用方法
チャットボットの導入種類:QA自動生成+シナリオ型+マッチング型AI
C社様は、導入の初期コストや負担を抑えるため、既存のFAQページをもとにQAを自動生成し、チャットボットに登録。これによりスムーズな立ち上げが可能となりました。
シナリオ型チャットボットは、製品の基本操作に関する案内を中心に構成。操作に不慣れな顧客でも、選択肢に沿って問題解決にたどり着けるよう工夫されています。一方で、より複雑な問い合わせや自由入力には、200件以上のQAを学習したマッチング型AIチャットボットが対応。必要に応じて有人チャットへ接続される設計にすることで、混雑や対応遅延の緩和にもつながっています。
参考URL:有人チャット
さらに、AIチャットボットが記録した質問ログは、問い合わせ傾向の可視化やナレッジ改善に活用されており、ヘルプデスク業務の効率化だけでなく、製品の品質向上にも寄与しています。
D社様:研修サービスにおける顧客ヒアリングとリード獲得支援

■ AIチャットボットの導入を検討した背景
・ユーザーの関心やニーズを、資料請求フォームなど限られた手段でしか取得できなかった
・組織課題や悩みの把握に時間がかかり、営業・CS部門の負担が大きかった
・他社サービスと比較検討しているユーザーに、自社の強みを自然に伝えるのが難しかった
■ 導入・活用方法
チャットボットの導入種類:シナリオ型+生成AIチャットボット
D社様では、Webサイト上にチャットボットを設置し、ユーザーの関心や課題をより深く引き出すために、シナリオ型と生成AI型の両方を活用しています。
シナリオ型では、想定される質問や関心に応じた選択肢を用意し、ユーザーがスムーズに情報へたどり着けるようガイド。一方で、自由入力で寄せられる質問や悩みに対しては、生成AIがその場で簡潔に回答。必要に応じて追加質問を行い、以下のような情報を自然な対話の中で引き出せるよう設計されています:
- 現在の育成課題
- 所属部署や業務領域(例:人事、情報システムなど)
- 関心分野(例:内製化支援、マネジメント研修 など)
また、他社サービスと比較検討しているユーザーに対しては、業界全体の傾向に触れながら、自社の強みや特徴を自然な流れで伝える仕組みも盛り込まれています。
収集されたチャット内容はタグ形式で社内共有され、マーケティングや営業活動の改善、コンテンツ設計の最適化に活用。結果として、リード獲得の精度が高まり、現場の対応負担も軽減されるという好循環が生まれています。
シナリオ型から生成AIまで使えるTebot「ティボット」
本記事では、企業がチャットボットの導入を検討する際に知っておくべき基礎情報から実際の活用事例までご紹介してきました。
株式会社アノテテでは、従来型のマッチング型AIチャットボットから最新の生成AI型チャットボット、またスモールスタートしやすいシナリオ型チャットボットまで幅広くご提供しています。
各企業様の抱える課題・背景にあわせて適したチャットボットをご提案致しますので、いつでもお気軽にご相談ください!

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