AIシステム開発会社のアノテテです。
サービスのひとつとして、AIチャットボット「Tebot(ティボット)」を提供しています。
チャットボットの導入が急速に進んでいますね。業務を効率化するためのツールとして、顧客とのコミュニケーション手段として、チャットボットはますます重要な役割を果たしていますが、特にECサイトでの活用が注目を集めています。
この記事では、チャットボットの基本から、ECサイトでの具体的な使われ方とそのメリット、上手な運用方法について解説します。チャットボットの導入を検討している方や、既に導入しているけれどより大きな効果がほしい方は、ご参考にしてください。
この記事でわかること
– チャットボットの基本
– ECサイトでのチャットボットの使われ方とメリット
– 具体的な導入事例
– チャットボットの上手な運用方法
1. そもそもチャットボットとは

チャットボットとは、ユーザーと自動で会話をするプログラムのことです。大きく分けて「シナリオ型」「AI型」の2種類があり、その両方の機能を併用できるタイプが一般的になりつつあります。また、ベンダーによっては各クライアント企業のニーズにあわせたカスタマイズも可能です。
シナリオ型チャットボット
シナリオ型とは、あらかじめ設定されたシナリオに沿って動作をするチャットボットです。フローチャート形式で、ユーザーは提示された選択肢の中から質問を選択し、チャットボットは選択された質問に対して事前に登録された回答を表示します。
メリット | デメリット |
・シンプルで分かりやすい ・低価格で導入可能 ・誤った回答のリスクが少ない | ・複雑な質問や想定外の質問には対応できない |
AI型チャットボット
AI型は、人工知能(AI)が搭載されていてより自然な会話を実現するチャットボットです。ユーザーが言葉や文章で質問を入力すると、AIがその意図を理解して回答を表示します。回答の提示には認識系AIと生成系AIの2通りの方法があります。
●認識系AI
あらかじめ登録したQ&A(質問と回答)の中からAIが最適と思われる回答を選んで提示
●生成系AI
その場でAIが回答文を作成して提示
メリット | デメリット |
・幅広い表現や複雑な質問にも柔軟に対応 ・活用範囲が広い | ・シナリオ型よりも費用が高い ・準備に時間がかかることがある ・生成系AIの場合、ハルシネーション(AIが誤った情報を生成すること)のリスクがある |
カスタム型チャットボット
ベンダーによっては、クライアント企業用にカスタマイズしたチャットボットも提供しています。社内で普段利用しているツールと連携したり、社内データベースと紐づけたりなど、各企業のニーズや環境にあわせたチャットボットの作成が可能です。
メリット | デメリット |
・独自のカスタマイズが可能 | ・費用が高額になる可能性が高い |
2. ECサイトでも注目されるチャットボット
チャットボットは急速に普及しています。Mordor Intelligence社の市場調査によると、チャットボットの市場規模は、2025年には87億1,000万ドルに達すると予測されています。さらに2025年から2030年の間に年平均24.32%の成長率で拡大し、2030年には258億8,000万ドルに達する見込みです。現在最大の市場は北米ですが、日本を含むアジア地域の市場は急激に拡大しています。
チャットボットは、顧客とのコミュニケーションツールとしてよく利用されます。顧客にとっては、いつでも気軽に使える問い合わせ手段となり、企業にとっては業務効率化のための重要なツールとなります。さらに、企業が顧客の行動やニーズ、自社の課題などを分析するためのツールとしても活用できるので、ECサイトへの導入効果が注目されています。
3. ECサイトでのチャットボット使われ方・メリット

市場規模の拡大に伴い、多くのECサイトでチャットボットが見られるようになりました。主な使われ方とメリットについて、解説します。
FAQサポート
ECサイトでの一般的な使い方に、FAQ(よくあるご質問)があります。たとえば、「注文方法」「配送料」「返品ポリシー」「トラブルシューティング」といった一般的な質問に、チャットボットが24時間年中無休で、迅速、効率的、正確に回答します。
▶メリット
– 顧客は電話やメールの待ち時間がなく、数秒で疑問を解決できるため、満足度が向上
– 運営側も、単純な質問はチャットボットに任せることで業務効率化
– スタッフはより複雑な対応に時間を割ける
「サイトにFAQページがあるので、チャットボットは必要ない」と思う方もいるかもしれませんが、サポートとしてチャットボットを設置すると、より便利なFAQになります。たくさんの文字情報の中から知りたい情報を探し出すよりも、チャットボットにキーワードを入力するだけで回答を見つけられる方が、ユーザーにとっては簡単で時間のロスも少ないからです。
FAQページだけでなく、サイト全体に表示しておくとより便利です。特に「問い合わせ」ページでユーザーがチャットボットを目にした場合、問い合わせフォームに入力する前にチャットボットで問題が解決するかもしれません。顧客はすぐに疑問を解決でき、スタッフの業務効率化にもつながります。
セールスの代行
セールススタッフの代わりとしての使い方もあります。顧客に商品の魅力を伝えたり、追加情報を提示してアップセルやクロスセルにつなげたりなど、セールスを重視したチャットボットの運用です。もちろん24時間365日、休みなく接客します。
顧客が特定の商品について調べている場合、その商品に関する情報はもちろん、関連商品もあわせて提示したり、割引クーポンなどのお得な情報をお知らせしたりして、購入意欲を高めることができます。たとえば、商品が洋服の場合は、コーディネート例やおすすめのアクセサリーを表示することで、顧客が商品をより具体的にイメージでき、購入意欲が高まる可能性があります。セット価格や期間限定割引などの情報を提供することで、さらに購買意欲を刺激することができます。
スムーズに購入してもらえるように、顧客の疑問があればすぐに解決できるようにしておくことも大切です。サイズ選び、支払い方法、配送日時など、一般的な疑問は顧客がすぐに確認できるようにしておきましょう。チャットボットで回答することもできますし、サイト上のFAQページへのリンクを分かりやすく配置することも効果的です。
顧客に寄り添うサポート
もっと顧客に寄り添った、会話重視のチャットボットを作成することも可能です。決まりきった質問に定型的な回答をするだけでなく、単純に商品説明をするだけでもなく、顧客ひとりひとりの言葉や要望にあわせて対話を続けていきます。
顧客は商品やサービスの情報を得るだけでなく、チャットボットとの言葉によるコミュニケーションも楽しむことができるため、そのサイトへの親しみや信頼が生まれ、購買意欲の向上へとつながります。
※顧客の購買履歴を反映するには、自社の顧客情報と紐付けるためのカスタマイズが必要です。詳細はベンダーにご相談ください。
4. ECサイトでのチャットボットの導入事例

ECサイトの特徴や運営者の利用目的によって、チャットボットの役割も異なりますが、例として3つの導入事例をご紹介します。
UNIQLO(ユニクロ) / GU(ジーユー)

「UNIQLO」と「GU」は、ECサイトでの購入をサポートするチャットボットサービス「IQ」を導入しています。どちらも同じファーストリテイリンググループで、人気のファストファッションブランドですね。
UNIQLO、GUそれぞれのオンラインストアのページを開くと、右下にチャットボット「IQチャットサポート」が表示されます。
IQチャットボットサポートは、「注文」「商品の配送」「返品・交換」といった一般的なFAQのサポートとしてだけでなく、「商品検索」「商品サイズの確認」「コーディネートの提案」など、オンラインでの買物に関するさまざまな質問に対応していて、セールス代行の役割も果たしています。チャットボットはどのページにも設置されていて、疑問があればすぐにそのページ上で確認できます。
購入を検討している商品のカテゴリを選択すると、画像付きでチャットボットが提案してくれます。サイズの測り方や在庫の確認もできるので、サイズの測り方や在庫の確認もできるので、顧客は簡単に目的の商品を見つけ、商品選びから購入までをスムーズに行うことができます。
Shopify(ショッピファイ)
「Shopify」というサービスをご存じでしょうか。ウェブ制作の知識がないユーザーでも、簡単にネットショップが作れるECサイトのプラットフォームです。中小企業や個人でも手軽にネットショップを開設して、商品を販売できる機能が豊富です。Shopifyユーザー向けと、ネットショップの顧客向けの2つの目線からチャットボットを見てみます。
1.ユーザー(ネットショップ運営者)向け

Shopifyでネットショップを運営するユーザー向けのチャットボットです。ショップの開設・運営に関する質問に回答する、ヘルプデスクの役割で、各ユーザーの状況にあわせてパーソナライズされた回答を提示してくれます。
ネットショップの更新は夜間になることも多いですが、質問する際に時間帯を気にする必要はありませんし、自分のショップの登録状況等を確認する際でも手軽にチャットボットに聞けばよいので、ユーザーにとって大変便利なツールです。
2.ネットショップの顧客向け
Shopifyで運営するネットショップには、複数のチャットボットサービスから自社のショップに最適なものを選んで設置できます。チャットボットはサービスによってそれぞれ特徴があり、機能もたくさんあります。導入目的を明確にし、どの機能が必要でどれが必要ないかを検討して、自社ショップに適切なチャットボットを選定することが大切です。
たとえばShopify公式アプリ Shopify Inboxは、Shopifyショップの運営者なら無料で利用できるチャットツールで、チャットボットの自動応対と有人チャットとの切り替えができます。顧客の過去の購入履歴、カート内や閲覧状況を把握でき、その場で顧客に適した接客が可能です。割引情報を送付することもでき、購入意欲を高め売り上げにつなげることが可能です。
※ユーザーの登録状況や購買履歴に応じた回答をするには、自社の顧客情報と紐付けるためのカスタマイズが必要です。詳細はベンダーにご相談ください。
Value Books(バリューブックス)
古本買取・販売のネットショップ「Value Books」では、「バリューブックスの選書AI」というチャットボットが、ユーザーが本を探す手助けをします。著者名や書名で目的の本を探すことができるだけでなく、具体的な本が決まっていなくても「あなたの今の気分でも大丈夫」と声をかけてくれます。

何か本を読みたいけれど、どの本がよいか迷っているユーザーに対して、おすすめの本をその理由とともに提案してくれます。チャットボットとのちょっとした会話を楽しみながら、これまで知らなかった本との出会いを体験できます。
Value Books のサイトでは、会員登録をしなくてもだれでも「選書AI」を利用できます。
5. ECサイトでのチャットボットの上手な使い方

チャットボットは、ECサイト上でFAQやセールス代行としての役割を果たします。顧客目線で使い勝手の良いチャットボットを設置できれば、顧客に寄り添ったサイト運営が可能になります。チャットボットを上手に運用していくためのポイントを以下にまとめます。
フィードバック分析を行い、メンテナンスを行う
チャットボットには通常分析機能がついています。定期的に分析結果を確認し、必要に応じて改善していきましょう。
具体的には
– 回答できていない質問があれば、追加する
– 満足度が低かった回答は、分かりやすく修正する
– 顧客の要望があれば、対応する
– 最新情報にアップデートする
といった作業です。
現在は改善点がないように見えても、時間の経過とともに顧客のニーズも変化するので、ときどき見直しが必要です。
スタッフへの切り替えのタイミングを見極める
チャットボットですべての質問に答える必要はありません。どこまでは自動応答にし、どんな内容、どのタイミングでスタッフへ切り替えて対応するのかを見極めて設定しましょう。
チャットボットの回答に、「有人チャットでお答えします」として有人チャットへの切り替えボタンを表示したり、「〇〇については、こちらにお問い合わせください」というメッセージとその連絡先(電話番号など)を記載したりしておけば、顧客はそのままチャットや電話でスタッフに直接問い合わせることができ、すみやかな問題解決につながります。
パーソナライズで顧客体験の向上
顧客の一般的な要望やサイト上での導線を考慮した作り方をするだけでも、使い勝手のよいチャットボットになりますが、さらに会員情報、過去の購入履歴・閲覧履歴・会話履歴といった情報をもとに、各顧客の行動や好みを分析しパーソナライズした会話ができると、顧客体験が向上し、ECサイトの利用頻度・売り上げアップにつながっていきます。
※会員情報、購入履歴等を反映した会話を展開するには、顧客情報と紐付けるためのカスタマイズが必要です。詳細はベンダーにご相談ください。
6. ECサイトで使われるチャットボット「Tebot(ティボット)
高性能AIチャットボット「Tebot」は、顧客接点のひとつとしてECサイトでも活用されています。
詳しい導入事例など、デモ画面も含めご紹介いたしますのでお気軽にご相談ください。
クライアント様のご要望に応じた開発も可能です。
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